世界観の統一と演出
2号店をひと回りしてみると、フロント、ロビー、レストラン、客室のすべてに恐竜時代の"ジュラシック感"があり、世界観が統一されていることに気づく。この演出は重要だ。
ディズニーリゾートを出て、味気ないビジネスホテルに泊まるよりも、ロボットと演出で非日常感をさらに味わえるほうが、誰もがいいと思うはず。近隣のビジネスホテルと同価格帯であれば、なおさら変なホテルのほうに分が上がる。恐竜とロボットばかりが見える2号店は、やはりちょっと変わったホテルだったわけだ。
そうした感想で締めたいが、「ちょっと変わったホテル」という認識は少し誤解を生んでしまう。他とは違った変わったビジネスホテルがコンセプトの中核にあるわけではないからだ。
コンセプトの中核は「常に進化し続け、日々変わっていくホテル」である。ホームページを開いても、そこには「変わり続けることを約束するホテル」とあるのだ。ロボットが人力部分を担い、究極のローコストホテルの実現という経営的な側面がありつつ、宿泊者に向けたサービスとクオリティの向上も同時に追求しているという。
実際にハウステンボス内の1号店は変わっていっているようだ。宿泊者にアンケートをとっており、顧客からの改善要望を取り入れ、ホテルを進化させている。
エイチ・アイ・エスの澤田秀雄社長は「ロボットだと、ロビーが寂しいと言われるので、ロボットのオーケストラを入れたりだとか、ロボットがカクテルを作るロボットバーを作る準備もしています。変なホテルは常に改善して、進化していく。快適さと面白さは年を追うごとに増していくと思います」と話す。
だからこそ、「記事を見ちゃったから、変なホテルに行く必要はないな」というのは間違いだ。訪れるたびに何かしら目に見える新しさがそこにありそうだ。ビジネス的側面にとどまらず、消費者目線からも面白いホテル、それが変なホテルなのだろう。ということで、現場をくまなく見ちゃった筆者も、もう一度行ってみることにしよう。