名門・東芝は、東証2部への降格が決定し、今回の中期経営計画も2部降格を前提にしたものだとする。そして、3月15日付けで、審査中というステータスで監理銘柄に指定されたことも見逃せない。東京証券取引所および名古屋証券取引所の今後の審査で、内部管理体制などについて改善がなされなかったと認められる場合には、上場廃止が決定するという瀬戸際の事態にまで追い込まれている。
「社会に対する信用を確保しつづけ、上場廃止にはならないように努力をしたい」(綱川社長)と語るのが精一杯だ。
新生東芝の注力事業は4領域
新生東芝は、社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、ICTソリューションの4つの事業で展開することになる。
2019年度の業績見通しのうち、社会インフラの売上高が1兆9650億円、営業利益は880億円を見込む。公共インフラ、ビル・施設、鉄道・産業システムに加えて、東芝テックによるリテール&プリンティングで構成。「2019年度の売上高の約半分を担う事業」(綱川社長)となる。水処理や受配電、道路、防災、放送、防衛、航空管制、気象、郵便、金融などの公共インフラの更新、高度化需要獲得、保守ビジネスなどの安定収益事業が軸だ。
水処理や物流の公共インフラは、2016年度の売上見通しの3600億円から、2019年度には3800億円へと拡大。昇降機や空調などのビル・施設では、6400億円から7700億円へ、電池や鉄道システムなどの鉄道・産業システムは3100億円から3600億円へと拡大する。POSや複合機などを扱う東芝テックによるリテール&プリンティングは、2016年度見通しで5000億円の売上高を誇るが、2019年度の目標は非公表。だが、社会インフラ全体の公表値から逆算すると約4500億円規模と想定され、成長事業には位置づけてはいない。
2つめのエネルギーの2019年度の売上高見通しは1兆500億円、営業利益は450億円。「海外エネルギー事業のM&Aで失敗した過去を反省して、新たな体制で進んでいく」とし、火力・水力・地熱、電力流通、国内原子力に加えて、「水素社会に向けた新たな芽として、次世代エネルギーに投資する」と述べた。
火力・水力・地熱事業の売上高は3300億円から3100億円へ減少。電力流通は、2500億円から2700億円へ拡大。国内原子力は1500億円から2000億円へと拡大する。次世代エネルギーについては、2021年度に250億円の売上高を見込んでいる。
3つめの電子デバイスの売上高見通しは8000億円、営業利益は480億円。これを「メモリ無き後の半導体事業の姿」と綱川社長は位置づけ、ディスクリートおよびシステムLSIで構成する半導体の売上高は3700億円から4400億円に、エンタープライズ用途を中心としたハードディスクは、今後の市場縮小を見込んで4600億円から3600億円へと減少する。
「電子デバイスは、新たな車載関連、制御関連デバイスの開発で収益性を高めたい。ハードディスクは、市場が縮小するが、データセンターには必要な製品であり、しっかりとやっていく」と述べた。