ソフトバンクロボティクスとソフトバンクは共同で、人型ロボット「Pepper」のビジネス向け展開を強化している。人型ロボットがビジネスに与える影響は、果たして投資を正当化するほどのポジティブなものなのだろうか。2月に開催された「Pepper World 2017」の基調講演で紹介された導入事例から考察してみよう。

Pepperの導入目的は大別して3タイプ

Pepper World 2017の基調講演において、ソフトバンクの榛葉淳専務は、これまで約2000社に導入されてきたPepperの導入目的を、サービス、セールス、PR、の3つに大別する。

Pepperの導入目的の大きな三本柱と説明を行う榛葉淳専務

サービスとは、店頭での案内や受付といった業務をPepperに担当させている事例のことだ。従来人を割り当てていた業務をPepperに割り当てることで、業務効率化とコスト削減を目指すパターンとなる。

セールスは、そのままズバリ、Pepperに接客・販売を任せている例だ。これはコスト削減だけでなく、売上アップにもつながっているという。3つの導入目的のなかでは最もアクティブな用途だといえる。

PRについては、Pepperを店頭での広告・PRに使っている例だ。Pepperという最先端のロボットをPRに使うことでブランドの認知度を向上させる効果を期待するわけで、ある意味最もパッシブ(受け身)な使い方といってもいいだろう。

いずれも、ある程度自律的に行動でき、音声認識による会話やタッチディスプレイを備えたPepperに向いた用途ではあるが、単体購入で約140万円、3年レンタルの「Pepper for Biz」で月額5.5万円というコストを正当化するだけのメリットは出ているのだろうか。もう少し具体的な内容を見てみよう。