インフラ投資や端末割引の減少も利益拡大要因に

だが携帯3社の動向を見ると、こうした直接的なコスト削減だけでなく、それ以外の影響によるコスト削減効果も、好業績に大きく影響していることが見えてくる。

1つはインフラ投資だ。3社はかつて、LTEのエリアカバーを激しく争い、大規模かつ積極的なインフラ投資を続けていた。その影響は、ソフトバンク(現在のソフトバンクグループ)が2012年にイー・アクセスを買収し、LTEに活用できる周波数を獲得するなどの企業買収にまで及んだほどだ。

しかしながらその激しい競争の結果、既に3社は全国の9割以上の地域をLTEでカバー。現在はエリアを広げるための投資から、利用者が多い都市部を中心に、増大するトラフィックに対処するための投資へと変化していることから、投資額もピーク時と比べ大幅に減少している。設備投資が減少すれば利益、さらにはフリーキャッシュフローの増加にもつながるので、インフラ投資が落ち着いたことも好業績には大きく影響しているといえよう。

ソフトバンクグループは国内通信事業のインフラ投資減少によってフリーキャッシュフローが年々増えており、それを元手として利益を海外への投資を進めている

そしてもう1つは総務省の影響である。先に触れた通り、総務省ガイドラインの影響によってスマートフォンの実質0円販売ができなくなり、2月にはそのガイドラインの改定も含めた「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」が適用されたことで、端末価格は今後一層上昇することが予想される。だが端末価格が上がることは、すなわち従来割引に費やしてきたお金が利益となるため、やはり利益向上要因へとつながってくるのである。

インフラ投資の落ち着きや総務省施策の影響など時勢や外部環境の変化が、大手3社にとってはコスト削減要因へとつながり、それが利益を向上させて業績好調を支える要因にもなっているのだ。