顧客流出に必死な3社は今後も光に注力
また今後の携帯大手の動向を考える上でも、固定・携帯のセット割はプラスの効果をもたらすものと考えられる。セット割によって固定通信を契約してもらうことは、他社だけでなくMVNOなど低価格なサービスへと安易に流出することを防ぐのにも、一定の効果があると考えられるからだ。
しかもここ数年来、大手キャリアは自社の顧客に向けたコンテンツサービスの充実度を高めており、2月8日にもNTTドコモがスポーツの動画ストリーミングサービス「DAZN for docomo」を開始するなど、動画コンテンツの充実を図っている。そうしたサービスをスマートフォンだけでなく、自宅のテレビやタブレットなど利用する上で、光ブロードバンドは必須となることから、サービスの幅を広げるとともに、それを顧客のつなぎ止めにも活用できるのはメリットだ。
また固定・携帯のセット割を前提とした一体販売によって、相対的にユーザー当たりの獲得コストが下がるというのもメリットになる。現在は獲得競争が激しいこともあって営業費用は拡大傾向にあるようだが、固定回線の契約は家族まとめての契約拡大にも結び付きやすいだけに、今後はメリットが一層大きくなると考えられそうだ。
総務省の方針によって端末価格は今後も一層高騰すると見られ、低価格サービスへの顧客流出は今後も加速することが予想される。だがその傾向を野放しにしておけば、携帯3社の売上はじり貧になってしまうだろう。それだけに、自社顧客の流出を可能な限り防ぎつつ、売り上げを高めていく上でも、携帯3社にとって光ブロードバンドの存在は重要だといえ、今後も各社は光ブロードバンドサービスの販売、ひいてはセット割の契約拡大に力を入れていくといえそうだ。