さらに2013年、三菱自動車工業が「アウトランダーPHEV」を出したことも大きい。三菱の電気自動車(EV)技術を活用した同車は、大容量バッテリーを搭載することで60.8キロの電動走行を可能としていた。この数字が評価され、同車は2015年に欧州と日本でもっとも売れたPHVになり、60キロ電動走行可能という数字はPHVのベンチマークとなった。先代プリウスPHVは遅れをとってしまったのだ。
電動走行距離は68.2キロ
では新型プリウスPHVはどうか。価格は326万1,600円からと、先代同様にHVとの差はある。しかしスタイリングはHVとは別物であり、バックドアガラスには空力性能に優れたダブルバブルウインドゥ、バックドアには軽量化に貢献するカーボンファイバー製リアゲートなど、新技術も取り入れている。インテリアではインパネ中央の、11.6インチという超大型の縦長ディスプレイが目を惹く。
気になる電動走行距離は68.2キロと、アウトランダーPHEVを少しではあるが上回った。そしてプリウスPHVには、ライバルにはないもうひとつの先進技術がある。ルーフに装着したソーラーパネルだ。
太陽光でクルマが走る時代に?
自動車へのソーラーパネル採用例としては、EVの日産自動車「リーフ」が知られている。しかしリアスポイラーに装着したリーフのソーラーパネルは小さく、エアコンなどの電装品用のバッテリー充電に留まっていた。その点がプリウスPHVは異なる。ソーラーパネルの最大出力は180ワットであり、発電したエネルギーを走行用バッテリーに貯めることができるからだ。
距離は1日で最大6.1キロ、平均2.9キロとわずかではあるが、休日にしかクルマに乗らないという人であれば、平日5日間がずっと快晴なら30キロ分を充電することも不可能ではない。もちろん電気代の節約になるし、日本は現在、電力の9割近くを火力発電に頼っているから環境対策にもなる。
他の自動車メーカーのPHVやEVも、大急ぎで大容量ソーラーパネル装着へと動いてくるはずだ。特にルーフの長いミニバンやSUVは効果が期待できるだろう。
この流れが進むと、車庫の常識が変わる可能性がある。これまで車庫と言えば屋根付きが格上で、月極駐車場料金も高めだったけれど、屋根が付いていてはソーラー発電ができないわけで、今後は青空駐車が注目を浴びることになるかもしれない。