期末の債務超過は回避できるか?
現時点で、半導体事業への出資に名乗りをあげている企業や、出資比率や金額などについては明らかにはしていないが、綱川社長は、「様々なパターンがある」とし、複数の企業からのオファーがあることを示す。
半導体事業の基幹拠点となる四日市工場において協業関係を持ち、最も近い関係にあるウエスタン・デジタルの出資を仰ぐ可能性を指摘する声もあるほか、投資ファンドや外資系企業などの出資の可能性も取りざたされる。綱川社長は、「ウエスタン・デジタルとの関係は悪くない」とコメントするが、今後の行方はわからない。
半導体事業の分社化は、社内カンパニーであるストレージ&デバイスソリューション社の半導体メモリ事業が対象になっている。ここには、主力のNANDメモリのほか、SSD事業も含むことになる。一方で、システムLSIやディスクリート、ハードディスク、イメージセンサーなどは、東芝本体に残ることになる。
綱川社長は、「ディスクリートなど、NAND以外のデバイスはしっかりと本体でやっていく」とするが、成長と利益の源泉となっていたNANDメモリーを手放すことで、半導体市場における東芝の存在感は一気に下がることになる。
東芝は、2017年3月31日付けで半導体事業を分社化する予定であり、期末の債務超過を回避するには、それまでに出資を得る必要がある。
2月9日には、三重県四日市の東芝四日市工場の第6製造棟の着工を行い、2018年夏には第1期の製造棟が完成する予定だ。ここでは、3D NANDメモリの生産を行う予定であり、今後の東芝の半導体事業を牽引する役割を担うはずだった。
報道関係者に公開されたパース図には、白い建屋に、赤いTOSHIBAのロゴが鮮やかに描かれている。だが、製造棟完成時には、「TOSHIBA」ロゴが入った外観を実際に見ることは難しそうだ。