東芝が、「お宝事業」ともいえる半導体事業を、いよいよ手放すことになりそうだ。

東芝は2017年2月14日、同社本社で記者会見を開いた。東芝の綱川智社長は、半導体事業を100%売却する可能を問われ、「柔軟に考えていく。なんでもあり得る」と回答。完全に売却する可能性を否定しなかった。

会見に臨む綱川社長。あきらめているようにもみえるが、腹をくくっているようにもみえた

20%未満の外部資本導入のはずが……手放す?

東芝では、経営再建策の柱のひとつとして、半導体メモリ事業を分社化することを発表。20%未満の外部資本を導入するとしていた。

20%未満という出資比率は、東芝が主導権を維持した形で事業運営できるぎりぎりの数字。一部を切り売りしても、あくまでも主導権は東芝が握るという姿勢を明確にしていた。

それを発表したのが1月27日。わずか半月足らずで、この方針を撤回したことになる。

1月の会見では、半導体事業を担当する成毛康雄副社長が、「20%未満という外部資本の出資比率は、東芝のなかでNAND事業が大事な事業であるという位置づけを継続したいという意味を持つ」と説明。分社後も、ストレージ&デバイスソリューション社の傘下に置くことを前提としていたが、これも覆ることになる。

綱川社長は、「半導体事業は、今後のさらなる成長に必要な経営資源を確保し、あわせて東芝グループの財務体質を強化するために、柔軟に考えていく。マジョリティ譲渡を含む外部資本導入を検討している」と発言。「マジョリティ確保にはこだわらない。現在、様々なオファーをもらっており、将来に向けて、一番価値が出るところと組んでいくことになる」と語った。

50%以上の外部資本を導入することについて明言した格好ともいえ、半導体事業の新会社は、東芝の子会社から外れることになる。いわば、半導体事業を手放す覚悟であることを明確に示したともいえる。

綱川社長は、「現時点では、なにも決まったものはない」とするが、その一方で「すべての可能性がありうる」とも語る。

半導体事業を売却するという決断にまで踏み込まざるを得なかった背景にあるのは、2017年3月期に、債務超過に陥る可能性がより高まったことがあげられる。