日本の事情と照らし合わせると、CarPlayから享受できるメリットは薄いと感じる。日本のナビゲーションシステムは地図も機能も充実しており、15年前から音声だけで自宅に帰ることは容易いほどだったからだ。わざわざiPhoneの地図を使いたいと思うかと言われると、返答に窮する。

ただ、米国の場合、車載ナビについては、皆が口を揃えて「よくない」と言う。さすがにテスラの17インチディスプレイに不満を漏らす人はいなかったが、iPhoneやAndroidで地図を使っていると、いくら高級車のナビであっても見劣りしてしまう。アウディなどがGoogleマップを採用している背景もここにある。

まだまだ選択肢が限られるGoogleマップ採用のナビゲーションシステムに対して、CarPlayは、ナビ機能の満足度を一挙に高めることができる手段となり得る可能性がある。

CarPlayは、ナビ機能の満足度を一挙に高める可能性を秘めている

実は、筆者がドライブしたカマロの車載機には、ナビ機能はついていなかった。誰もが持っているスマートフォンを接続できるようCarPlayとAndroid Autoに対応しておけば、それを表示できる仕組みを用意すれば良いだけということになる。地図のライセンスやアップデート、ナビ機能の開発といった手のかかることを排除できるのだ。

車内空間での体験を重視する高級車の場合は、ナビを含むインフォテイメントシステムの作り込みも重要だ。しかしそうでなければ、スマートフォンに任せても十分、という判断となることだろう。

iPhoneを日本語に設定して米国のレンタカーのCarPlayに接続したら、きちんと日本語での操作とナビが利用できる点は、これまでの車載機にないメリットだと感じた。