ソニーは、2016年度第3四半期連結業績を発表。その席上、通期見通しを修正。売上高は、11月公表値から2000億円増の7兆6000億円と上方修正したが、営業利益は300億円減の2400億円、純利益は340億円減の260億円とした。
売上高の上方修正は、主に為替の影響によるもの。その一方で、利益の下方修正は、「第3四半期の業績では、映画分野で営業権の減損で1121億円を計上したことが影響している」と説明した。
2016年度第3四半期における映画の売上高は、前年同期比2.7%減の6006億円、営業損益が1004億円減って1142億円の赤字。また、2016年通期の映画事業の見通しは、売上高は9100億円と据え置いたものの、営業損益は830億円の赤字に転落すると予想した。
2016年度通期見通しの修正および第3四半期実績においては、映画分野の減損が、ソニー全体の経営に大きな影響を与えたのは明らかだ。
映画分野の収益見通しを下方修正
ソニーは、2017年1月30日に、リリースを出し、そのなかで、「映画分野における将来の収益計画を見直した結果、2016年度第3四半期において、映画分野の営業権について、減損1121億円を営業損失として計上した」と発表した。
今回の減損は、映画分野のうち映画製作事業の将来の収益見通しを下方修正したことによるものとし、市場縮小の加速により、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売といったホームエンタテインメント事業の収益見通しを引き下げたことによるものと説明している。さらに、映画製作事業の将来の収益見通しにはその前提となる公開作品の収益性の低下も織り込んだという。
また、この損失は現金支出を伴うものではなく、減損の対象となった営業権の過半は、1989年に、コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントの株式を公開買付けした際に計上したものだという。
会見のなかで吉田副社長は、映画分野について、「営業権に関して多額の減損に至ったことは、経営として重く受け止めている。また、映画分野が、中期的な目標に対して大幅な未達になっていることは重要な課題である」と反省の弁を述べる。
吉田副社長によると、映画分野の営業利益見通しは、営業権の減損を除いた実質ベースでも2億7000万ドルであり、2016年5月に発表した期初見通しに比べても、約3割減の水準だという。
さらに、「中期経営計画で掲げた2017年度の目標値も一度引き下げているが、今年度末の決算発表時に公表予定の2017年度見通しにおいては、さらにそれを下回ることになる」と、映画分野の落ち込みが激しいことを示す。