2020年に開催が決まっている東京オリンピック。長野オリンピック(1998年)以来22年ぶりの自国開催、また1964年以来、実に56年ぶりとなる首都東京での開催だけあって、ボランティアに興味を持っている人も多いのではないだろうか。
一方でボランティアにはどのような種類があるのか、どれくらいの英語力が必要なのかなど、疑問や不安を感じている人もいるはずだ。
そこで、このレポートでは、東京都と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)によるボランティア戦略を改めて見直す。
あわせて、東京2020 オリンピック・パラリンピック オフィシャルパートナー(語学トレーニング)としてボランティア育成を担当するイー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン(以下EF)による「東京2020 オリンピック・パラリンピックボランティアを目指そう! EF特別セミナー リオ2016大会通訳ボランティアによるトークセッション」の様子をお伝えする。
ボランティアにはどんな種類がある?
オリンピック・パラリンピック開催に欠かせないボランティアは、大きく2つに分けられる。1つは大会運営に直接関わる「大会ボランティア」(組織委員会が運営主体)と、大会期間中に空港や駅、街中で観光・交通案内などを行う「都市ボランティア」(都が運営主体)だ。
都と組織委員会が2016年12月に公表した「東京 2020 大会に向けたボランティア戦略」によると、大会ボランティアでは「言語サービス(通訳)」「選手団サポート」「競技運営サポート」など各国選手と直接やりとりをする業務や、「会場内誘導・案内」「持続可能性活動 サポート」など選手だけでなく世界各国からの観客と接する業務が想定されている。
ボランティアの募集人数について、過去のロンドン2012大会では合計で7万8,000人がボランティアとして活動したが、大会前の募集の段階では大会ボランティアに24万人、都市ボランティアに2万4,000人の応募があったそうだ。
東京2020大会では、大会ボランティアと都市ボランティアを合わせて9万人以上を募集すると見込まれている。募集人数が多いとはいえ、ロンドン2012大会の倍率が約3倍だったということを考えると、東京2020大会でも採用されるには何かしらの対策準備が求められるかもしれない。
求められる人材とは?
では、実際にどのような人材が求められるのだろうか? 「東京 2020 大会に向けたボランティア戦略」には、それぞれに生かすことのできる経験や求められる資質として以下の3点があげられている。
■大会ボランティアに活かすことのできる経験や資質等(案)
1. オリンピック・パラリンピック競技に関する基本的な知識がある方
2. スポーツボランティア経験をはじめとするボランティア経験がある方
3. 英語やその他言語のスキルを活かしたい方
■都市ボランティアに活かすことのできる経験や資質等(案)
1. 東京の観光、交通案内等に関する知識やスキル・経験を活かしたい方
2. 防災・防犯・救命救急等に関する知識を活かしたい方
3. 英語やその他言語のスキルを活かしたい方
応募条件については、それぞれ2020年4月1日時点で満18歳以上であること、ボランティア研修に参加できること、大会ボランティアでは10日間以上、都市ボランティアでは5日間以上(1日5時間以上)活動できることなどの内容が検討されている。なお、現時点では具体的な英語スキルなどは明らかにされていない。
ボランティア募集のスケジュールは?
募集時期や今後のスケジュールについては、2018年夏頃に募集を開始、2019年から書類選考と面接が実施され、2019年から2020年にかけて採用が決定、研修などが行われる予定だ。なお、都市ボランティアの一部は2017年末頃から前倒しで募集を行い、オリンピックの前年に日本で開催されるラグビーワールドカップ2019において先行的に活動する可能性がある。
ボランティアに関してEF 企業海外研修・社会人留学事業部 部長の赤塚亮太氏は「東京2020大会は世界に規範を示す大会になる」とした上で、次のように語った。
赤塚部長「ボランティアの仕事内容は、選手と接触のない、日の当たらないところのサポート業務もあります。そして、無報酬だからといって、ドタキャンをされてしまうと現場が非常に大変になってしまいます。ただ、ボランティアにはオリンピックへの情熱がある人が何より求められるのではないでしょうか。おもてなしの心と主体性を持って、義務感ではなく、責任感を持って楽しんで盛り上げていただきたいと思います」
※ボランティアに関する情報は2016年12月時点のもの
※画像は本文とは関係ありません