iPadのラインアップは現在、2014年10月にリリースされたiPad Air 2と、2015年9月にリリースされたiPad mini 4、iPad Pro 12.9インチ、そして2016年3月にリリースされたiPad Pro 9.7インチが中心だ。なおiPad mini 2も併売されている。
Appleが力を入れているのは、PCからの買替え需要をすくいとろうとしているiPad Pro、特に9.7インチモデルだ。
MacでもWindowsでも、ソーシャルメディアは全般的にウェブブラウザからの利用が中心で、これが専用アプリに置き換わることによるユーザー体験の向上は、日々のコンピュータの利用の快適さを作り出してくれる。またMicrosoftはOffice製品をiPadにきちんと移植しており、AppleもiWork製品に共同編集機能を導入するなど、機能の充実を計っている。 Appleは、パソコンとタブレットのポジションを変化させかけているように見える。つまり、iPadは、パソコンでのベーシックな作業を担う存在と位置づける、という意味だ。その「ベーシックな作業」が何を指すのかは、議論の余地があるが。
前述の通り、ワープロ、単純な表計算、スライド作りに加え、メール、SNSへの投稿、メッセージング、写真の編集と共有、簡単なビデオや音声の編集、ショッピング、ウェブ閲覧は、既に存在しているアプリで実現できる。また、音楽やビデオの視聴は、パソコンよりも手軽に持ち運べる点で、より重宝される存在となり得る。
コンシューマー向け、そしてビジネスユーザー向けに、こうした作業を行う上で、これまでのノートPCや、競合となるSurface、Chromebook、Androidタブレットよりも良い、という点をiPad Proが打ち出せるかどうかが問題なのだ。
例えば価格面での競争力を考えると、ChromebookやAndroidタブレットには勝てない。他方、個人にしても企業にしても、セキュリティやプライバシーの問題は、iPadを用いるメリットになり得る。ただ、それだけではまだ強い需要を生み出すには弱い。