AppleはMacとiPadを共存させ、交わることはない、と繰り返しアナウンスしてきた。これはつまり、Macがタッチスクリーンに対応しないことであり、タブレット型のMacは登場しないということだ。ただしこれは2016年時点の方針である。

MicrosoftはSurfaceブランドで、Windowsが動作するタブレットPCというトレンドを作り出した。タブレット主体のSurface Proや、2in1と呼ばれるノートパソコン、タブレット双方のスタイルを実現するデバイスなど、多様な進化を遂げている。2015年にMicrosoftが発売したSurface Bookは、切り離し可能なディスプレイと本体を持つ「デタッチャブル」PCという新奇性が際立った製品だ。キーボード部分には追加のバッテリーとGPUを搭載するスタイルは、個人的に、Microsoftがパソコン市場において大きなアドバンテージを作り出したと感じた。

iPadがパソコンと比べて、汎用性の面で劣っている点はその通りだと思う。あらゆることがiOSアプリで実行されるため、まだiPadにないアプリは体験できないのだ。その点、一日の長があり、遍在性で勝るパソコンが有利に働く。Windows PCは、Microsoft Office、Adobe Creative Cloudといった業界標準の製品がタッチ対応することで、クリエイティブの世界であっても、Macに対するアドバンテージを手に入れてしまった。今現在は、Windows PCが、有利に事を運んでいるように見える。

その一方で、iPadのシンプルさが作り出すメリットもある。

例えば、1歳児ですら、親が操作しているのを横で見ていれば、自分でYouTubeアプリを起動し、好きなビデオを選んで再生することができるようになる。1歳児がPCを起動して、インターネットに接続し、ウェブブラウザを開いて「youtube」と入力できるとは思えない。

同様に、パソコンは使っていないがスマートフォンは使っている、という年長者にとっても、iPadは身近なコンピュータとして利用できる。例えば、実家にWi-Fiの設定をしてiPadを手渡して、孫の写真をiCloudの写真共有で行ったり、FaceTimeで通話できるようにしておくという家族も多い。このシンプルさが定着している点は、iPadがこれから再び浮上する上で非常に重要な条件になってくるだろう。