セイコーエプソンは、長期ビジョン「Epson25」の重点事業のひとつとして、プリンティング事業を掲げている。このほど、プリンティング領域におけるインクジェットプリンタ戦略について説明。オフィス向け高速ラインインクジェット複合機/プリンタ「WorkForce Enterprise LX-10000F/LX-7000F」の投入により、より広範なプリンタ市場にアプローチする新たな方針を示した。

プリンタ事業の業績目標として、2018年度には、年間約1700万台の出荷を計画。売上収益では、2015年度から年平均成長率で3.5%増を見込み、5,400億円規模を想定しているを明らかにした。

セイコーエプソン 碓井稔社長

セイコーエプソンの碓井稔社長は、「プリンタ市場全体におけるエプソンのプレゼンスは決して高くはないと考えている。プリンタ市場は、複写機を含めると全世界で163ビリオンドルを超える大きな市場だが、インクジェットプリンタの市場は、そのなかの4分の1以下。我々は、そこだけで事業を行ってきた。だが、プリンタが抱える課題解決に対して真摯に向き合うことで、163ビリオンドルの市場に打って出ることができる」とした。

2月2日には、2017年5月から発売する高速ラインインクジェット複合機「LX-10000F」および「LX-7000F」を発表。複合機市場や軽印刷市場に踏み出すための戦略製品と位置づけて、新たな市場への展開を開始する。

セイコーエプソン 久保田孝一氏

セイコーエプソン 取締役 常務執行役員 プリンター事業部長の久保田孝一氏は、「これまでは大容量インクタンクモデルにより、レーザープリンタの30ppm以下の領域を置き換え始めている。今回の高速ラインインクジェット複合機の投入により、A3複合機市場、45ppm以上の領域に展開していくことができる」と発言。碓井社長は、「オフィス市場においては、レーザー方式からインクジェット方式にテクノロジーシフトを起こしながら、新たな市場に挑戦するという覚悟を決めている」と述べた。

碓井社長が語るプリンタが抱える課題とは、オフィスにおいて、プリントコストが高いから印刷を控えるといった機運があることや、同様に、カラー印刷はやめよう、紙の利用はやめようというという動きが高まり、プリントのコスト削減意識が必要以上に高いこと、それにより印刷機会を抑制したいというモチベーションにつながっているという点だ。

「紙は普遍的なコミュニケーションツールであり、タブレットが普及するなかでも紙に対するニーズは高い。そうしたニーズに応えるためには、既存のやり方では解決できない。

課題に正面から向き合ったときに、エプソンが導き出した回答は、インクジェット技術を徹底的に磨き上げ、高速、高画質、低コスト、省エネルギーを実現し、新たなプリンティングソリューションを提案することであった。エプソンは、プリント市場に対して、高い志を持って取り組んでいる。インクジェットイノベーションを起こし、オフィスのすべての印刷をインクジェット方式に置き換える」(碓井社長)。

WorkForce Enterprise LX-10000F/LX-7000F