富士通が、2017年1月31日に発表した2016年度第3四半期(2016年4月~12月)連結業績は、売上高が前年同期比6.1%減の3兆2005億円、営業利益は616億円増の632億円、税引前利益は513億円増の681億円。また、当期純利益は429億円増の322億円となり最終黒字化。減収増益の内容となった。
減収要因として、富士通 取締役執行役員専務兼CFOの塚野英博氏は、為替によってマイナス1850億円の影響があると説明。「為替を除く実ビジネスベースでは若干の減収に留まっている」とコメント。一方で増益の要因としては、ソリューション/SIが過去最高の売上高になるなど、同社がコア事業と位置づけるテクノロジーソリューションが増益になっているほか、同社が取り組んでいるビジネスモデル変革の成果が顕在化してきたことを示しながら、「ネットワークおよびユビキタスソリューション、デバイスソリューションが好転している」と、これまで業績悪化の要因となっていた事業が改善し始めていることを強調してみせた。
だが、所要減が底を打ったとするデバイスソリューションは減収減益のままであり、欧州を中心とした海外サービス事業では、新規商談の獲得が計画から遅れ、デジタルサービスのポートフォリオの絞り込みやデリバリー体制の構築に時間を要しているという課題もある。手放しで喜べる状態でないのは確かだ。
レノボとの戦略的提携の行方は……
こうしたなかで注目されるのが、レノボとの戦略的提携を検討しているPC事業の行方だ。
富士通とレノボは、2016年10月、「富士通およびLenovoによるPC事業における戦略的提携の検討」と題したニュースリリースのなかで、グローバル市場に向けたPCの研究、開発、設計、製造に関する戦略的な提携について、検討を進めていることを表明。事業統合に向けた検討を開始している模様だ。
その後富士通では、「事業を強くする方向で検討をしており、最もいい形を模索している」などとしながら、「現時点では、具体的なことは言えない」と、コメントするに留まっていた。
今回の決算会見でも、塚野CFOは、「レノボとの戦略的な提携は、どうやったら事業を強く、大きくしていけるかということを子細に議論をしているところである」と同様のコメントに終始。「交渉というよりも、どうやって事業を強くするのかということを考えている段階であり、少々時間はかかっているが、年度内には確実に作り上げたい」と、年度内の決着を視野に入れていることに触れた。
だが、関係者の話を聞くと、話し合いの進捗は遅い。この2月にどこまで内容を詰められるかがカギになりそうだ。
富士通が、PC事業統合の決着を急ぐのには理由がある。