苦しい時期に打ち出した戦略が開花

その要因の1つは、NTTドコモ自体の取り組みが、ようやく成果として実を結んだことにある。先に触れた通り、NTTドコモはカケホーダイ&パケあえるや、ドコモ光の利用者数を伸ばしているが、これらはいずれも、まだNTTドコモが不調だった2014年から2015年初頭の時期に打ち出されたものだ。

「カケホーダイ&パケあえる」「ドコモ光」など、NTTドコモが苦しかった時代に打ち出したサービスの契約者が拡大し、それが通信事業好調の要因となっているようだ

特にカケホーダイ&パケあえるは、急速なビジネスモデルの転換によって大幅な減収をもたらすなど当初のマイナス影響は大きかった。だが現在では料金プランに対するユーザーの理解が深まったのに加え、データ通信の利用が大幅に伸びたことを受ける形で、音声・データのARPUは回復傾向にある。

一方のドコモ光も、当初はNTT東西の「フレッツ光」からの転用が多かったものの、最近では新規契約者も増えているとのことで、契約者の伸びがARPUの伸びへと直結することにより、売上拡大に寄与してきている。またドコモ光の展開によって固定・携帯のセット契約が増えたことで、かつて大きなマイナス要因となっていた、毎月の通信費から端末代を割り引く「月々サポート」の影響を軽減できたことも、NTTドコモにとっては大きいだろう。

そしてもう1つ、特に利益拡大に大きく貢献しているのがコスト効率化だ。NTTドコモは2014年に業績を下方修正して以降、利益向上のためコスト効率化を積極化することを打ち出している。その結果、今四半期までの累計では820億円と、スマートライフ領域の利益に匹敵する規模のコスト効率化を実現。今期目標の年間1,000億円の達成が見えたことから、さらに100億円を追加して年間1,100億円のコスト効率化を実現するとしている。

スマートライフ領域の利益に匹敵する規模のコスト効率化も、利益拡大には大きく貢献してる

なお今年度の営業利益は、有形固定資産の償却方法が変更したことや、「ずっとくりこし」の減収影響がなくなったことなどを加味した値となるため、昨年度とやや基準が異なることも忘れてはならない。これらの影響を除いた場合、営業利益は前年同期比11.9%増の7,673億円となるが、それでも利益が大きく伸びていることに変わりはない。