NTTドコモが発表した2016年度第3四半期決算は、営業利益が22.9%増となるなど増収増益で、非常に好調な内容であった。低価格のサービスが伸びるなど市場環境が厳しくなる中にありながら、一層の好調ぶりを見せているのには、NTTドコモのこれまでの施策が功を奏しただけでなく、環境の変化も影響しているようだ。

今期も好調な伸びを記録

携帯大手3社の先陣を切って、最大手のNTTドコモが1月27日に2016年度第3四半期決算を発表した。その内容を見ると、営業収益は前年同期比2.5%増の3兆4,669億円、営業利益は22.9%増の8,423億円と、非常に好調な内容となっている。

好調な決算を発表したNTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏

さらに内訳を見ると、主力の通信事業は営業収益が前年同期比1.8%増の2兆8,140億円、営業利益が20.8%増の7442億円。コンテンツや決済などを含めた「スマートライフ領域」は、営業収益が前年同期比5.8%増の6,768億円、営業利益が41.9%増の982億円と、いずれの事業も好調に伸びていることが分かる。特に、いずれの事業も利益が大きく伸びていることから、利益の改善傾向が鮮明な様子がうかがえる。

足元の数字を見ても、携帯電話契約数は前年同期比6%増の7359万台となっているが、より伸びが著しいのが、2014年に導入された料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」、そして固定ブロードバンドの「ドコモ光」の契約数だ。いずれも前年同期比1.3倍、2.7倍と大きく伸びており、これらの伸びがARPUの伸び、ひいては通信事業収入の拡大へとつながっていることは確かだろう。

「ドコモ光」などの伸びによってARPUの拡大傾向も続いている

スマートライフ領域に関しても、「dマーケット」のコンテンツサービスだけでなく、スマートフォンの安心・安全を実現するサービスをパックにした「あんしんパック」が伸びており、それらが利益拡大に貢献しているとのこと。中でもあんしんパックを主体としたあんしん系サポートは、スマートライフ領域の利益増加の半分を支えるなど、非常に大きな存在になっているようだ。

スマートライフ領域も順調な伸びを示しているが、中でもあんしん系サポートサービスの伸びが、利益拡大に大きく寄与しているとのこと

しかしながら現在NTTドコモを取り巻く環境を見ると、MVNOなど低価格のサービスが急増しているのに加え、総務省の施策影響から端末の実質0円販売が困難になるなど、行政の施策によって市場環境が劇的に変化している。またNTTドコモ自身も、最近は料金プラン変更など目立つ施策を打ち出しているわけではない。にもかかわらず、NTTドコモが好調な業績を上げている理由はどこにあるのだろうか。