『未確認で進行形』夜ノ森紅緒役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』神谷奈緒役など、様々な作品に出演し数多くのキャラクターソングを歌う声優の松井恵理子。ライブやイベントでも抜群のパフォーマンスを魅せる彼女が2017年1月25日、メジャーアルバム『にじようび。』を引っ提げて、アーティストデビューを果たす。
松井恵理子(まついえりこ)。3月8日生まれ。IAMエージェンシー所属。主な出演は『未確認で進行形』夜ノ森紅緒役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』神谷奈緒役、『えとたま』モ~たん役、『SHOW BY ROCK!!』吽役、『エルドライブ』トント役など。撮影: 西田航(WATAROCK) |
今回はアルバムの聴きどころに加え、声優に対して一方ならぬ想いを持つ彼女がアーティストとしてデビューする心境や、今後の活動などについて語ってもらった。
デビューは感謝の気持ちも込めて
――まずはアーティストデビュー、おめでとうございます!
ありがとうございます! 実はアーティストデビューさせていただけると思っていなかったので、まだあまり実感が持てていないです(笑)。
――キャラクターソングなども多く歌われており、ライブでも抜群のパフォーマンスを魅せる松井さんなので、個人的にはそんなに意外なことだとは思いませんでしたが……。
そんな、褒め過ぎですよ(笑)。確かに、今までキャラクターソングはたくさん歌わせていただきましたが、個人的に「歌」を歌っていきたいというバイタリティをお見せしてきたことはあまりなくて。だからデビューのお話をいただいたときは正直驚きました。
――アーティストデビューすることに抵抗があった?
歌自体は好きで、デビューすることもありがたいお話なので抵抗はありませんでした。でも、やっぱり声優としての自分と、アーティストとして歌う自分がすぐにイコールにはならなくて……。私は小さいころから声優になりたくて、今でも声優として生きていきたいという想いを持っています。そんな私の歌を喜んでくれる人がいるのかなという悩みを最初は持っていました。
――そんな悩みを持たれていたとは……。
でも、私の演技や歌声、そしてパーソナルな部分も好きと言ってくださる方の声で、悩みは吹っ切れました。演じるキャラクターだけでなく、私自身にも興味を持って応援してくださる方に感謝を伝えたい、でもそれはキャラクターを演じるだけでは伝えきれない。だったらアーティスト活動を通じて感謝を伝えていきたいなと思って。
――松井さんにとってのアーティスト活動は「感謝の気持ち」なんですね。
まずは感謝の気持ちを伝えて、今回のアーティストデビューというチャレンジを今後の活動にもつなげていきたいと今は思っています。
――デビューするにあたり様々な想いがあったんですね。そんな想いを抱かれながらのレコーディングはどうでしたか?
キャラクターソングのレコーティングとは違う面が多かったです。キャラクターとして歌うときは演じる子のことを主軸に考えます。でも「松井恵理子」として歌うときはそういう指針みたいなものがなく、まっさらな状態で始まるのでアプローチの仕方が少し違いました。
――アーティスト「松井恵理子」として歌われるときはどのようなアプローチを?
いただいた曲を聴きながら世界観を想像しました。例えば、この曲はああいう系のアニメの主題歌な気がするとか、この曲はこういうキャラクターの子が歌っていそうとか……。そういうざっくりとしたイメージを持ってレコーディングに臨みました。
――なるほど、今のお話はアニメや漫画が大好きな松井さんならではの発想なのかなと感じました。
あははは、そうかもしれませんね(笑)。
虹は私にとって特別な存在
――これまでアーティストデビューに関してお話いただきましたが、今度はアルバムについてお伺いできればと思います。まずアルバムタイトルである「にじようび。」にはどのような想いが込められているのでしょうか?
今回のアルバムには元気な曲やしっとり系など、様々な楽曲が収録されています。また、声優である以上は色々な声を出せる「七色の声」を求めていきたいという想いがあり、「虹」というワードを使いました。あとは肩ひじを張らずに聞いてもらえればと思っているので、週末の「にちようび」に聴けるようなアルバムになればという想いも込めています。
――「虹」と「にちようび」を掛け合わせた。アルバムだけでなく2016年10月に「第0回」が配信されたラジオのタイトルも「にじらじっ!」です。また演じるキャラクターの歌の中にも「虹」というワードが出てくるなど、もはや「虹」は松井さんの代名詞になりつつありますね。
「虹」には昔から思い入れがあるんです。小学生の頃、体育の授業中に丸い虹がかかり、それがすごく綺麗で印象的で! 虹っていつでも見られるものではない奇跡のような存在で、すごいなと思うようになりました。それからも私の人生の要所、要所で虹という存在がありました。
――例えばどのような場面で虹と出会いましたか?
まず、初めてメインキャラクターを演じた『未確認で進行形』という作品でPVを撮影する機会があったのですが、その時に二重の虹がかかって。また、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の2ndライブでも雨が降っていたけど、虹がかかったり……。声優としてデビューしてから大切な場面で「虹」と出会えることが本当に多く、私にとってはとても特別な存在ですね。
――『アイドルマスター シンデレラガールズ』で松井さんが演じる神谷奈緒のソロ曲「2nd SIDE」をライブで披露されるときには、プロデューサーの方々が色違いのサイリウムを複数持って振り、「虹色」を表現するのも有名ですよね。
あれは、私が「2nd SIDE」をライブで披露するとなったとき、「2番に虹色橋という歌詞があるから、すごくわがままだけど、持っているサイリウムをすべてあげてほしい」というお話をラジオでさせていただいて、その想いを皆様が汲んでくださったから実現したものなんです。最近では多くの方が虹色にサイリウムを振ってくださるようになりました。私一人じゃなくて、みんなと楽曲を作ってきたんだなと感じています。
今回のアルバムも今はまだ私たち制作側の想いが詰まっているだけのものですが、これを皆様の前で披露したときにどうやってそれぞれの楽曲が成長していくのか、今度はどんな景色になっていくのかが楽しみです。