プロの味をつめこんだプロファイルの重要性
今までに述べてきてわかるように、かなり重要な役割を果たすのが、このプロファイルだ。
セットに入る焙煎のプロファイルは、2013年に焙煎の世界大会でチャンピオンになった、焙煎士の後藤直紀氏が作成。送られてくる生豆パックについているQRコードをスマホにかざすと、アプリにその生豆のプロファイルが読み込まれる。それを焙煎機にとばせる仕組みなのだ。浅煎りから深煎りまで豆ごとに2、3パターンのプロファイルがあり、同じ豆でも焙煎度による味や香りの違いを楽しむことができる。月ごとに違った産地の生豆が送られてくる(2種類セットと3種類セットがある)が、追加の購入も可能だ。このサービスを利用すれば、自宅で手軽に、プロの焙煎士が焙煎したのと同じ味を体験できる。
コーヒーの自宅焙煎という「第四の波」となれるか。それは、いれたコーヒー味の質がいかに高いか。それを、自宅の中で体験できるということに、いかに高い価値を感じてもらえるか。そこにかかっているだろう。パナソニックは、潜在需要を3~4万世帯としているが、新しいビジネスなので、まずサービスの認知を広めるところからだろう。
IoT家電によって技術を再現、体験を売るサービス
調理家電の技術とIoTを活用し、プロでないと実現できない技、そしてそれにふさわしい食材をセットにすることで、本来であれば、自宅ではできない食体験を提供する。この食の体験サービスを今後は、コーヒー以外にも展開していくという。
多種多様なIoT家電が、世に出ているが、それによって、その場に行かないと得られないプロの技を“再現”できる。遠くにいても“体験”できる。そういう“つながり”を生むものは、なかったのではないだろうか。これは家電メーカーだからこそできる、新しいサービス提供のあり方だろう。次はどのような新しい食サービスが出てくるか。今後の展開が楽しみだ。