ところが、コーヒーのおいしさは、店舗でやっている「豆を挽く」「抽出する」作業の前で9割決まっているそうだ。つまり、今まではわずか1割の中で、各社が味を競っていたということだ。
そして、最近では、「焙煎」もこだわるという流れができている。スターバックスやタリーズコーヒーが焙煎機を備えた店舗展開を始めているのだ。コーヒメーカーを出していたパナソニックからしても、残りの9割にアプローチするという考えはごく自然な流れだっただろう。
家電業だからこその自宅焙煎で「第四の波」を狙う
その豆ごとに最も素材の良さを引き出す焙煎は異なり、プロでないと最適な仕上がりにするのは難しい。家庭用の焙煎機も今まで売っていなかった訳ではないが、プロの味には届かないものだったという。そこで家電メーカーであるパナソニックが思いついたのが、調理家電の技術とIoTを活用し、プロ顔負けの焙煎ができる家庭用焙煎機だったのだ。
ただ、性能のいい機械をつくっても、素材と、IoTで送る焙煎のプロファイルがよくなくては、おいしいコーヒーにはならない。
パナソニックは明治39年に創業し、当初からコーヒーの生豆の輸入事業に注力している石光商事と提携。家庭用焙煎機と石光商事の厳しい安全基準によって選び抜かれたスペシャルティ豆(定期頒布)、そしてその豆に合わせた焙煎プロファイルの3点をセットで提供するサービス「The Roast(ザ・ロースト) 」を、4月上旬からスタートさせる。
焙煎機単体だけ売るという予定は、今のところないという。なぜなら、焙煎する良質な豆と、それにあわせたプロファイルがあってこそだからと考えているためだ。自分で買ってきた生豆を、専用豆のプロファイルで焙煎することはできたとしても、味の保証はない。だからセットサービスなのだ。購入は、パナソニックのショッピングサイトPanasonic Store(パナソニック ストア)のみでできる。