「Pokemon GO」がリリースされ、米国の公園の風景は一変した。夜9時まで明るい夏場であっても、夕方5時を過ぎれば、人気がなくなる。安全ではないと考えられているからだ。しかしPokemon GO以降の夕方の公園には人が溢れ、出会った人の中には、こどもだけでチームを作って遠征に来ているというのも。

人々の行動が変わったことが、お互いの目に見える形で、一気に表面化したのである。そこでは、こどもが大人にポケモンの捕まえ方をレクチャーしていたり、全く知らない人同士が「こちらで捕まえられるよ」と声を掛け合って協力している様子が非常に印象的だった。これは、アメリカだけでなく、日本でも起きた現象だった。

2016年夏に世界中で吹き荒れたPokemon GO旋風に比べれば、Appleが仕掛けるチャレンジは、控えめに言っても地味だ。非常に個人的な挑戦であり、人によっては普段の生活と変化がない。「あ、あの人も、この人も」という街の変化を認めることもできないからだ

しかし、このチャレンジには様々なオプションがある。今は米国での感謝祭のイベントや、世界共通の新年のチャレンジという形で展開されているが、もっとゲーミフィケーションの楽しみを取り込んでいってもいいはずだ。

例えば、前述の5kmのウォーキングもしくはランニングエクササイズのバッジを、世界中の都市で恒常的に展開しても良いだろう。

サンフランシスコで5km、東京で5km、ロンドンで5km、といった具合に、旅行でも出張でも良いので、各都市に降り立ったときに、その都市に存在するチャレンジが表示されて、達成すると専用のバッジがもらえると、揃えがいがある。

あるいは富士山の頂上の位置情報を獲得したら、富士山を象ったバッジがもらえても面白いし、Appleの新しい社屋の外周を歩いたりジョギングしたら、スペースシップのバッジがもらえてもうれしい。

Apple Watchのチャレンジイベントは、日常にイベントを与えたり、ちょっとした目標を設定して旅やトレーニングを楽しくする可能性が存在している。さらに言えば、これがAppleでなければ、持っているバッジがプロファイルとなり、広告の最適化やクーポンの配布を行うためのデータとして活用できるかもしれない。