スマートフォンは我々のポケットやカバンの中に入っている、1人1台のデバイスだった。スマートフォンと組み合わせ、身につけて利用するのがウェアラブルデバイスと呼ばれる分野だ。

ウェアラブルデバイス市場は2016年、拡大を続けた。IDCによると、直近の2016年第3四半期、ウェアラブルデバイスの出荷台数は3.1%増加し、2300万台だった

このカテゴリをリードしているのは、運動や活動量などを計測するフィットネスバンドと言われる製品で、その筆頭はフィットビットだ。デバイスの出荷台数で2位につけているのはアップルだが、こちらはより単価や付加価値、汎用性が高いスマートウォッチを販売している。2016年のウェアラブル市場は、フィットネスバンドの躍進と、スマートウォッチの停滞、という様相を見せた。

ウェアラブル市場をリードするフィットネスバンド。写真はFitbit Alta

停滞したスマートウォッチ

Apple Watchは2016年第3四半期、110万台を出荷しているが、前年同期比71.6%減の急ブレーキとなった。新モデルが発表されて、ほぼ1カ月間買い控えが起きたこともあるが、スマートウォッチ市場全体を見ても、51.6%減と振るわなかった。

2015年に登場した新しいカテゴリであり、スマートフォンのような買い換えサイクルなどが不透明なこともあるが、いくつかの問題を含んでいるとみている。

スマートウォッチの草分け的な存在で、クラウドファンディングでの熱狂的な支持によって製品化が行われてきたぺブルは、2016年11月末で、ウェアラブル最大手のフィットビットに事業の大半を売却してしまった。

3,400万ドルから4,000万ドルと見られる買収金額は、ぺブルの負債を埋める程度の金額と言われており2018年までの製品の継続を持って、その歴史を閉じることになりそうだ。フィットビットも高付加価値のスマートウォッチへの移行を目論んでおり、ぺブルのノウハウは生かされるだろう。

しかし、フィットネス機能に力点を置いて成功している現在のフィットビットと、より汎用的な可能性を夢見たぺブルでは文化の違いが大きいように感じられる。ただ、アップルですら、手首のコンピュータとしてのスマートウォッチを思うように販売できていない現状を考えると、より体力のないスタートアップには厳しい環境となってしまった。