さらに、現行プリウスがモデルチェンジする直前の2015年の年間販売台数ランキングで見ると、アクア、ノート、フィットの他に、マツダ「デミオ」も入っている。
デミオにはHVはないが、郊外の道では同等の燃費性能を誇るうえに力強い走りも味わえるクリーンディーゼル車を用意しており、「魂動(こどう)」と名付けられたデザインも魅力的だ。欧州車を好むようなユーザーの取り込みにも成功しているようだ。
では2016年末から2017年にかけて、コンパクトカーのカテゴリーに登場する新型は何か。いずれも既存車のモデルチェンジやマイナーチェンジではあるが、見逃せない車種ばかりだ。
スズキは「スイフト」を刷新して投入
まず2016年の末に、スズキのスイフトがモデルチェンジした。今回で4代目となるスイフトは、2代目で欧州市場を意識したデザインや走りを盛り込み、 世界中で評価された。スズキのブランドイメージを変えた1台と言われるほどであり、知名度も高い。そのクルマがモデルチェンジしたとなれば、注目が集まることは確実だ。
今回のモデルチェンジでは、先にソリオに搭載されたハイブリッドシステムが追加されるかどうかに注目が集まった。筆者はソリオの『ハイブリッド』に乗り、小型軽量にこだわったシステムながらバッテリーとモーターを効率的に使い、加速と燃費の双方をレベルアップした、スズキらしい技術だと評価している。 これがスイフトに搭載されれば、アクアやノート、フィットのライバルとして健闘するものと考えていた。
ソリオには力強いモーターアシストに加え、モーターのみによるEV走行も可能な『ハイブリッド』タイプと、ハイブリッドよりモーターアシストの力が低く、モーターのみによるEV走行はできない『マイルドハイブリッド』タイプの2種類が用意されている。新型スイフトに搭載されたのは後者のみだった。代わりにバレーノに初搭載された1リッターターボエンジンを搭載するなど、欧州仕込みの走りの良さをアピールしているように見える。
トヨタ「ヴィッツ」は「ヤリス」風に?
続いて2017年1月には、ヴィッツのマイナーチェンジが予定されている。 こちらもハイブリッド仕様が追加されるという話がある。ヴィッツは欧州では「ヤリス」という名前で現地生産も行われており、こちらには以前からHVがあった。これを日本に導入するとともに、デザインもヤリスに近い、欧州のテイストが取り込まれると言われる。
トヨタは来年から世界ラリー選手権(WRC)に久々に復帰することになっており、マシンはヤリスが使われる。これに合わせてヴィッツをヤリス風にイメージチェンジすることは十分考えられる。
トヨタにはこのクラスのHVとしてアクアがあるが、アクアは北米では「プリウスC」という車名になっている。こうした事情から想像すると、もしヴィッツのHVが登場したら、アクアより欧州的なイメージで、アクアよりややお求め安い価格で販売されるのではないかという気がする。