2015年の中国自動車市場は、2,460万台の新車販売となり、7年連続で世界第1位の座を獲得した。一方で、近年は1970年代の末から改革開放の政策がとられ、市場経済の導入が行われて以降の伸びに変化が見られだし、経済成長が鈍化している。そうしたなかで小型車減税が導入されたが、その撤廃や、減税率の縮小、あるいは各自動車メーカー間での新車値引き合戦など、中国市場における自動車販売を取り巻く経済情勢が揺れ動いている。
これまで世界一の自動車市場とされてきた米国の人口約3億2,000万人に比べ、中国の人口は約13億7,000万人で、4.3倍近い市場としての潜在能力がある。また、自動車保有率も日米に比べはるかに低い水準にあり、自動車の普及や販売の伸びしろはなお大きいとみられる。こうした中国市場で、新車販売はどのような動きとなっていくのか。
日米欧とは違う独特の市場
中国の経済動向について多くの視点は、この1年でどうか、せいぜい数年でどう動くのかに目が行きがちではないだろうか。しかし世界情勢は日々動いており、なかなかコレといった方向性を明確に示すのは難しい状態にある。
そのなかで、あまり語られない視点として、中国という国の在り方にあらためて目を向けてみる時期に差し掛かっていると私は考える。すなわち、中国は、我々の住む民主主義を根幹とした自由な社会における経済活動とは異なる、共産党一党独裁による国家体制が根底にあるということだ。
中国の改革開放の政策は、あくまで共産党の独裁の下での社会主義市場経済であり、市場経済とは言っても、共産党の意向を強く反映した政策が当然のように採られる統制経済であるということである。決して、自由な市場の動きに国の経済動向を任せることはしない。象徴的なのは、株式や為替へのあからさまな介入がある。あるいは、国有企業がなお多く、鉄鋼の余剰生産なども世界に悪影響を及ぼしている。
中国国内13億7,000万人の生活や消費を、どう制御していくのか。日米欧の国や市場が常識的に考える策とはまったく別次元の政策が、今後の世界経済に影響を及ぼしていくと考えるのが適切ではないだろうか。