2016年は自動車業界にとって激動の1年だった。年初からトヨタ自動車がダイハツ工業の完全子会社化を発表したかと思うと、4月には三菱自動車の燃費不正問題が発覚。5月の連休明けには、日産自動車が窮地に陥った三菱自との資本提携を電撃的に発表した。さらに10月にはスズキとトヨタが提携検討を発表するなど、目まぐるしいほどの動きを示した年となった。
提携を後押しする業界のメガトレンド
その背景にあるのは、一言でいうと自動車をめぐる技術革新のメガトレンドである。それは地球温暖化対応としてエコカーに向かう「電動化技術」と、クルマの宿命的課題である安全対応、つまりは自動運転への「知能化技術」ということだ。
この技術革新で連携していくことが生き残りの道であるとして、自動車メーカーの間では合従連衡が一気に進んだのである。これにより、日本の自動車業界のメーカー構図は、“日本連合”ともいえる大トヨタグループとルノー日産連合に加わった三菱自、単独の本田技研工業(ホンダ)という乗用車3派に集約された。トラックメーカーはトヨタグループの日野自動車といすゞ自動車、独ダイムラー傘下の三菱ふそう、スウェーデン・ボルボトラック傘下のUDトラックスという具合に日本車と外資に分かれる。
2017年の自動車業界は、乗用車3派にトラック4社という構図がさらに激変する可能性がある。トヨタグループの中身の深化、孤高のホンダがどこに向かうのか、トラック4社の方向性なども気になるし、さらには半導体、電池、ITあるいは人工知能(AI)関連などとのアライアンスが活発化することも予想される。
“日本連合”ともなったトヨタグループの動きは
トヨタは先頃、2017年の世界生産・販売計画を発表したが、ダイハツと日野を含む連結対象のグループ全体の世界生産は、1,036万台と過去最高を更新するものとした。しかし、これにトヨタが出資する富士重工業(16.4%、2017年4月からスバルに社名変更)といすゞ(5.8%)、業務提携のマツダ、さらに、2017年には具体的な提携に進みそうなスズキを加えると、トヨタグループ全体の世界規模は1,800万台となり、当然のごとく世界最大となる。
トヨタがここまで提携先を広げたのは、豊田章男社長の言う「仲間づくり」の考え方に基づく。いわば日本連合とも言うべき仲間の輪が広がったのだ。トヨタが仲間づくりを進めるのも、電動化や自動運転といった先進技術においては、インフラも含むグローバルスタンダード(世界標準)で先手を打つ必要があるからだろう。同時に、インフラ整備やコストダウンなどでは先進技術の共有化が求められているのだ。