まずは地道な普及活動が求められる

そうしたNTTドコモの積極的な取り組みに加え、早い段階からFIDOの認定を取得する企業が多く現れたことなどもあって、世界的に見ると日本はFIDOの導入がいち早く進んでいる国・地域の1つとなっているようだ。実際、2015年のFIDO Alliance内貢献賞を受賞した25社のうち、日本からは5社が選ばれているという。

しかしながら一方で、FIDO 1.0の仕様が公開されてから約2年しか経過しておらず、国内でFIDOをサポートする体制が完全に整っている訳ではない。FIDO Allianceに積極関与できる企業ならともかく、そうではない企業がFIDOの導入を検討していたとしても、日本語で情報を得て、サポートを受けるのは難しいという現状が存在するのも事実だ。

そこでFIDO Allianceでは、今年に入り、それぞれの国や地域にワーキンググループを設け、現地でFIDOに関するコミュニケーションやサポートを提供する仕組み作りを積極化している。既に中国とインドにワーキンググループが設置されているが、10月24日には日本にもワーキンググループを設置したとのことだ。

FIDO Allianceは10月に日本でもワーキンググループを設置。日本語でのサポートや、日本でのイベント実施などに取り組んでいくとのこと

こうしたFIDOの活動においても、ボードメンバーであるNTTドコモは大きな存在感を発揮しているようだ。実際、日本のワーキンググループ初代座長は、同社のプロダクト部 プロダクトイノベーション担当部長である森山光一氏が就任している。国内でFIDOのサービスを取り入れる事業者が増えれば、NTTドコモのデバイスやサービス活用の幅も広がってくるだけに、同社は今後も積極的な関与を続けていくと考えられそうだ。

もっともFIDO自体がまだ新しい存在であるため、中小問わず多くの企業がFIDOを積極導入するには、まだ時間がかかるだろう。当面は普及に向けた地道な取り組みが求められるといえそうだ。