ボードメンバーとしても積極関与するドコモ

FIDO Allianceにはマイクロソフト、グーグル、クアルコムなどIT企業大手が多く参加している。だが日本でもFIDOに積極的に取り組む企業は比較的多いようで、大日本印刷や富士通、楽天、ヤフーなど多くの企業が参加している。

中でも、FIDOに積極関与している日本企業の1つとして挙げられるのがNTTドコモだ。NTTドコモは2015年5月からFIDO Allianceに加入しており、加入当初からボードメンバーを務めるなど、積極的に関与している。さらにNTTドコモは、2015年の夏モデルからFIDO 1.0の認証を受けた生体認証機能を搭載したスマートフォンを販売。生体認証でスタンダードな指紋認証だけでなく、富士通製の「ARROWS NX F-04G」のように、虹彩認証を採用した端末も提供している。

NTTドコモは2015年5月よりFIDO Allianceに加入。当初からボードメンバーを務めるなど、積極的な取り組みを見せている

ハードだけでなく、同社のオンラインサービスにもFIDO 1.0の仕様を適用し、生体認証への対応を積極的に進めている。「dTV」「dヒッツ」など「dマーケット」の主要コンテンツを、生体認証によるdocomo IDでのログインに対応させたのはもちろん、「dデリバリー」「dトラベル」などでは「ケータイ払い」、いわゆるキャリア課金にも生体認証を利用できる仕組みを整えている。

NTTドコモはハードだけでなく、サービス面でもFIDO 1.0準拠の生体認証を取り入れており、dマーケットなど多くのコンテンツや決済で生体認証が利用できる

さらにNTTドコモは今年3月、iPhone/iPadに対しても、FIDO 1.0に準拠した形で、Touch IDを利用したオンライン認証を実現。アップルはFIDO Allianceに参加していないため、同社のハードはFIDOの認証を受けていない。だがTouch IDのAPIが公開されていることから、それを活用する形でFIDOに準拠したサービスを実現しているようだ。

NTTドコモはフィーチャーフォン時代より生体認証を採用した端末を提供しており、モバイルサービスの認証に関しても、以前より生体認証を利用する方策を検討していたという。だが独自で展開するには運用面での難しさを伴うことから、生体認証の仕様を公開しているFIDOの採用を決め、通信事業者の立場から標準化にも積極参加するに至ったようだ。