HDDのWestern Digital(WD)がSSDをリリースした。その第1弾が「WD Blue SSD」。同時に下位モデル「WD Green SSD」も発表されている。WD Blue SSDは、HDDの「WD Blue」と同様、PCにおけるスタンダード、メインストリーム市場を担う製品だ。今回、WD Blue SSDの1TBモデルを入手できたので、これを試してみよう。
WDはこれまでもSSDとHDDのハイブリッド製品をWD Black2およびWD Blue SSHDという形で展開していたものの、純粋なSSD製品はWD Blue SSDが初となる。もちろん、SSDを開発すること自体は可能だったように思われるが、そこにHDDをどう落とし込むことがベストなのかを模索してきたメーカーだ。
状況が変わったのは2015年10月に発表された同社によるSanDiskの買収だ。SanDiskと言えばCE機器でのメモリカードとともにPC向けSSDでも存在感を拡大してきているメーカーだ。この買収も2016年5月に完了し、WDはHDDとSSDという2つのストレージ技術を持ち合わせた統合ストレージメーカーへと飛躍した。
現在でもSanDiskはSanDiskブランドとしてメモリカードおよびPC向けSSDを展開している。今回、WDがSSDを投入することによって、同グループの2つのブランドから並行するかたちでSSDが販売されることになる。
ちょうどWD Blue SSDと似たような構成・ポジショニングでSanDiskからもSSDが販売されていることもあり、パっと見ではその意図を掴みづらい。ただし、そこはWDが開催した説明会でも触れられていたが、まだSSDを導入していない顧客に対し、HDDのカラーシリーズになぞらえ、分かりやすく提案するものとしている。
・【レポート】ウエスタンデジタル、WDブランドのSSDを国内投入 - 低価格モデルとして「緑」が復活
販売当初はまだ価格が落ち着かないとしても、ゆくゆくは同じ価格帯となるだろう。そうなれば販売チャネルが2つあるというメリットが生まれてくるのかもしれない。
HDDのBlueと同じ、メインストリーム向けの高耐久SSD
WDのカラーシリーズは、HDDで見るとWD Blue、WD Black、WD Redなど複数のラインナップがある。これらはWD Blueがメインストリーム、WD Blackがハイエンド、WD RedはNAS用、サーベイランスがWD Purple、データセンターがWD Goldなどと用途やグレードによって分かれている。
今回、SSDではWD BlueとWD Greenという2つのグレードが投入された。Blueが上位ということで、少し混乱が生じている印象もあるのだが、あくまでSSDでもBlueはメインストリーム向けの製品だ。
今後ハイエンド領域の製品についても期待されるところだが、特別にカラーを追加するのか、Blackを用いるのか、あるいはそこはSanDiskブランドという形ですみ分けるのか、その点についてWDはまだ言及していない。
容量ラインナップは3種類
さて、WD Blue SSDをスペック面から確認していこう。
ブランド | WD Blue SSD | ||
---|---|---|---|
容量 | 1TB | 500GB | 250GB |
インタフェース | Serial ATA 3.0 | ← | ← |
シーケンシャルリード | 545MB/s | ← | 540MB/s |
シーケンシャルライト | 525MB/s | ← | 500MB/s |
ランダムリード | 100k IOPS | ← | 97k IOPS |
ランダムライト | 80k IOPS | ← | 79k IOPS |
TBW | 400 | 200 | 100 |
MTTF | 1.75Mh | ← | ← |
製品保証 | 3年間 | ← | ← |
WD Blue SSDは、フォームファクタが2.5インチまたはM.2 2280、インタフェースはともにSerial ATA 3.0だ。スペック上のシーケンシャルリードは最大540MB/s、同ライトは最大525MB/sなので、メインストリームのなかでは比較的速い。容量ラインナップは、250GB/500GB/1TBという3つ。
転送速度については先程軽く触れたが、正確には先のリード最大540MB/s、ライト最大525MB/sというのは1TBモデルと500GBモデルになる。最小の250GBモデルはリードは同等だが、ライトは最大500MB/sと、若干低くなる。
ランダム性能は、こちらも1TBと500GBモデルは共通で、リードが100K IOPS、ライトが80K IOPSとなり、250GBモデルではリードが97K IOPS、ライトが79K IOPSとなる。小容量モデルの方がパフォーマンス的に劣るというのは一般的なことだが、その低下の幅で見ると本製品は比較的小容量モデルでも性能がよい。
耐久性を示すTBW(Tera bite write)は、どれだけの容量を書き換え可能かといった指標だ。これは容量に比例するため、1TBモデルが400TBW、500GBモデルが半分の200TBW、250GBモデルがさらに半分の100TBWとなる。WD Blue SSDの保証期間は3年(365日×3年=1095日)なので、これで計算すると、1TBモデルなら365GB/日あたり、500GBモデルなら182GB/日、250GBモデルなら91GB/日といった目安になる。
こうした大容量の書き込みに耐える点は、WD Blue SSDの発表会の際にもWDがアピールした点だ。一般的なPCの用途では十分に余裕のある値であり、大容量のモデルならばコンテンツ制作の現場でも耐えうる、というのがWDの主張だ。TBWはあくまで目安ではあるが、安心材料のひとつと言えるだろう。
MTTF(平均故障時間)は最大175万時間とされている。ほかの製品を見ても150万~250万時間を掲げる製品があるので、とりわけ長いというわけではないが、十分な値である。要は故障の少ない高品質の部品を使用し、基板設計をしているという証と捉えればよい。
半導体や電子部品の類は、実際には使用環境に左右される。高温下の劣悪な環境で使用すれば、より短い期間で故障するのは当然だ。そしてこうしたMTTFの値も、あくまでもNANDの書き換え寿命(TBW)の範囲内でのことである。