アイケアカンパニー宣言の効果
アイケアカンパニー宣言は大きな効果をもたらしたようだ。1万円に満たない商品ではなく、3万円代の高価な商品が売れるようになったのが顕著な例だろう。
メガネの世界は奥が深い。単に視力を補うのがメガネの役割だと思ってしまうが、自らに合っていないメガネを使い続けると、肩凝りにもつながってしまう。快適に使い続けるには、パーソナルなデータの反映が不可欠なのだという。
顔幅や眼・鼻・耳の高さといったサイズ、手元にピントを合わせる調整力や正面をむいたまま視線を下げる下方回旋量などの視覚機能といったパーソナルデータをフレーム設計と合わせて作り上げなければならない。特に人によって異なる視覚機能は、スタンダードレンズではなく、より値段の高いプレミアムレンズが必要になるというわけだ。
「メガネは本当の価値を伝えづらい商品だが、僕たちは1カ月後、2カ月後経ったときに、お客様に再度伺う。メガネのレンズにはお金をかけてください、しっかりと検査を受けてくださいとお話する。お客様の筋肉の状態、年齢などを分析して、最適なメガネを作る。そういった取り組みをしていくと、高いメガネでも納得して購入してもらえる」(星崎氏)。
こうした提案には、アイケアカンパニーとして知識と技術が必須となる。同社自身も社員の育成に怠りはない。社員研修を行い、検査・販売・加工・コンタクトなど各分野のスペシャリストも育成、全スタッフの個人別スキルもデータベース化して、店舗ごとにムラが出ないように最適な人員配置も行っている。アイケアスキルコンテストと呼ばれる大会も開催し、社員のスキルアップへの取り組みへ力を入れているようだ。
アイケアカンパニー宣言が新たに広げたビジネス
最近では、メガネ、コンタクト、補聴器などの販売にとどまらず、眼、耳の健康に関するトータルサポート力を持つ人材育成にも注力している。その取り組みのひとつとして、同社は医薬品登録販売者資格の取得を奨励し、資格保有者の「アイケア コンシェルジュ」を増やした。その結果、可能になったのがオリジナルサプリメントの販売だ。「メガネ屋が本気でつくったサプリメント」という触れ込みで、「EYEラックW」を124店舗で12月23日から始める。
もはや説明不要だが、サプリメントの販売も、"アイケア"を重視した結果である。低価格路線を継続していたら、サプリメントの販売にはいたらなかったであろう。