AIを使った人事は普及するか

AIが人事考査に使われるようになるとすると、中には「機械に判断されるのは嫌だ/不安だ」と感じる人も多いだろう。日立ソリューションズでは、「リシテア/AI分析」はあくまでデータを分析するためのツールであり、最終的な決定権はそれを操る人間にあることを強調する。運用する側も「これはあくまで事前の兆候の可能性であり、AIの判断が100%正しいわけではない、ということは肝に銘じなければなるまい。

とはいえ、人事部自体もリストラの対象となって経験のある人が減っていったり、これまでとは働き方の違うシステムになっていった場合、人事業務でも従来のノウハウが活かせなくなることは大いに考えられる。そのアシスタントとして何らかの形でAIが介入してくることは、もはや必然といえるかもしれない。

ポジティブに捉えれば、これは会社が従業員のヘルスケア全般を把握して、より健康的な職場づくりへのきっかけにすることもできるだろう。現在のスマートフォンはさまざまなセンサーを搭載しており、加えてスマートウォッチやウェアラブル型の生体センサーなどを用いてより正確な身体情報を収集できる。こうした情報を「リシテア/AI分析」のようなシステムが取り込めるようになれば、(プライバシーなどの問題はあるにせよ)より正確に身体の情報と仕事ぶりを判断できるはずだ。

メンタルヘルスに対する風当たりの強い日本では、一度「折れて」しまう、あるいはその傾向を見せただけで出世コースから外れてしまう恐れは否めない。だが、こうした問題は従業員だけでなく、会社全体が意識を変えて取り組まねばならない。「リシテア/AI分析」のようなAIの導入により、より正確で客観的なデータが取り入れられるようになれば、思い込みや先入観といったノイズから離れた人事考査も期待できるようになるのではなかろうか。