たとえば、日立ソリューションズ自身を含むIT業界では、特にメンタルヘルスを理由に休職する率が高く、日立ソリューションズのケースでは1.7%にもなった。これは他の業種と比べると3倍以上と非常に高い数値だという。一般に、年収500万円の社員が休職すると1年で800万円近いコストがかかるとされており、個人の健康という観点だけでなく、コストの効率化という点からも、休職の兆候を事前に察知し、カウンセリングや配置転換などを行うといった対策を早期に打てるメリットは大きいわけだ。

図の下側のグラフにあるように、情報通信分野の休職率は1.3%と突出して高く、これを低くすることが企業としての急務といえる

休職者が多い職場は生産性も低く、またコスト面でも大きな損をしていることになる

なお、こうした分析により発見できる「予備軍」は約40%程度ということで、数字だけ見るとさほど高いようには見えないのだが、人事の立場からするとかなり高いのだという。同社では「リシテア/AI分析」を導入して以来、社員による運動会や飲み会といったコミュニケーションの場を増やしてみたところ、休職率は半分近くまで下がったという。

スライドでは53%ということだったが、のちに数値の訂正が入った。他のAI関連の派手な数字と比べるとやや寂しく見えるが、人事関連の分野からすると画期的に高い数字と言えるとのこと

日立ソリューションズでは「リシテア/AI分析」を構成する製品として、業績やモチベーションなどパフォーマンスの高い組織の特性を抽出して可視化する「組織パフォーマンス診断サービス」を2月に、業績やモチベーションなどパフォーマンスの高い組織の特性を抽出して可視化する「組織パフォーマンス診断サービス」を来年5月にそれぞれ販売する。その後も製品群を追加/強化していく予定だ。

現在は診断と予測レベルの製品までが発表されたが、対策提案などより高度にデータ分析の結果を活用するサービスも来年度に登場する予定だ