トヨタが提供するアセットとは

応募者に対し、トヨタが提供するのは同社が保有するアセット(資産)だ。具体的にはビッグデータ、ディーラーおよびオウンドメディアからなるタッチポイント、先日のコネクティッド戦略発表会で紹介された「スマートキーボックス」や、法人向け車両運行管理サービス「トランスログ」、パーソナルモビリティ「i-ROAD」、ナビなどを利用した通信サービス「T-Connect」、スマートフォンを利用したナビサービスとして先日リリースされた「TCスマホナビアプリ」などとなる。

トヨタのビッグデータを活用した新たなサービスが生まれるかもしれない

応募資格としては、ビジネス利用が見込める革新的な技術やソリューション、サービスの開発を行っている技術者や研究開発者、大学・企業などの団体としている。日本語での応対ができれば年齢は問わない。企業についてはトヨタグループか否かを問わず、大企業、中小企業、ベンチャーの全てが応募可能としている。

また応募条件については、トヨタとの協業やシナジーが見込めること、トヨタとの共創に向けた取り組みの実現に向けてリソースを割けること、中長期的にトヨタとの提携を前向きに検討できること、提出する資料やプレゼンテーションには日本語を使用すること、事業内容が公序良俗に反していないことが挙げられている。

トヨタはこのプロジェクトについて、サービス開発にかかわる費用の全額または一部を負担する。得られた成果物は選定企業とトヨタの双方に帰属し、選定企業とトヨタがともに無償で利用することができるとしている。

選考メンバーとしては、トヨタの村上氏、Inamoto & Co.共同設立者でクリエイティブディレクターのレイ・イナモト氏、デジタルガレージ執行役員SVPの佐々木智也氏をはじめ、数名の有識者などを予定しているという。Inamoto & Co.とデジタルガレージ、および同社グループ企業のDGインキュベーションは、TOYOTA NEXTのパートナー企業にもなっている。

イノベーションが民主化、求められるスピード感

発表会にはイナモト氏と佐々木氏も姿を見せ、トークセッションに参加した。

左から佐々木氏、村上氏、イナモト氏

イナモト氏は、20世紀のイノベーションが企業の中で行われたのに対し、21世紀はインターネットやスマートフォンが発達し、イノベーションが民主化していると指摘。企業だけではスピード感についていけない現状が今回の取り組みを生んだと語った。

一方の佐々木氏は、最近のオープンイノベーションの例として、大企業の任天堂と米国のスタートアップ企業であるナイアンティックが共同開発した「ポケモンGO」を挙げた。こうした協業がますます一般的になっていく中で、トヨタが同様のスタイルを取り入れたことを評価しているという。