また3月下旬には、ドンタコスを一口サイズにしてチーズをかけた「ドンタコス ひとくちDELI」が発売予定だ。こちらは、仕事をしていて小腹がすいた時や、ホームパーティーのおつまみ用途などを想定、幅広い食シーンに対応する。
湖池屋の佐藤章社長は「付加価値経営が新生・湖池屋の基本方針」と話す。コモディティ化で低下した市場価値から脱却するには、商品に新たな付加価値をつけていく必要があると見ているのだ。
既存のスナック業界は子供・若者向けかつ低付加価値というポジションであり、これまでの湖池屋もその位置で競争を行っていた。しかし、新生・湖池屋はその対極的な位置、つまり大人向けで高付加価値な商品を提供するというポジションを陣取って勝負をかけていく。その点について佐藤社長は「スナック菓子業界にはすごく大きいライバルも競合もあるが、そっちを見ない」と話し、「希望を込めて」と前置きしつつも2020年度には売上500億円という高収益体質にしたいという。
なお、湖池屋の基盤ブランドであるカラムーチョ、スコーン、ドンタコス、ポリンキーの今後について同氏はリニューアルも必要と言い、あわせて乳酸菌ポリンキーやドンタコス ひとくちDELIのように健康や食などの面から付加価値をつけていく考えだ。
こだわり志向や健康志向の商品で高価値・高価格化を狙うこと自体は目新しいことではない。すでに、飲料やスイーツなどにおいて数々のものが、プレミアム商品や機能性食品などとして販売され、消費者の選択肢として定着している。しかし、低価格競争が続く既存のスナック菓子の分野においてはまだまだ伸び代がある領域だ。
価値に対して価格が下がる一方で需要が増えないという悪循環の状況にあるスナック菓子市場。フレーバー違いだけで差別化を図ろうとするのは限界を迎えつつある。現状において必要なのは、例えば新たな食べ方や食の楽しみ方を提示できる商品、または食べると美味しさ以外に何かお得感が感じられる商品など、商品価値の抜本的な見直しだ。
新生・湖池屋のラインナップ、第1弾のKOIKEYA PRIDE POTATOは、ビールなどに見られるプレミアム路線、第2弾の乳酸菌ポリンキーは乳酸菌飲料やチョコを思わせる健康路線と、従来の高付加価値商品のラインをなぞって手堅く勝負している印象がある。ただ、スナック菓子はジャンクなイメージが強く、商品価値を高めるのが難しい商品。それだけに、高価値化を狙う湖池屋は今後、開発力が問われていくことになるだろう。