ところがMVNOの知名度の上昇に伴って増えてきた、ITリテラシーの低いユーザーに対するサポート体制の充実が急務とされてきたのだ。これは実際に顧客にトラブルが発生した場合だけでなく、購入時に対面販売などで安心感を売る、ということも含まれる。MNOが高くても多くのユーザーを惹きつけている理由の一つに、実店舗が各地にあり、トラブル時には持ち込んで修理やサポートを受けられるという安心感がある。SIMだけを店頭に並べて販売しているMVNOは、いくら安くとも心理的な障壁が高いわけだ。

こうした施策は、もともと全国的な販売網を持つ「イオンモバイル」や、CD/DVDのレンタル・販売「GEO」と提携した「OCN モバイル ONE」が先行して着手し、「FREETEL」や「mineo」のように、大手家電量販店に対面カウンターを設置する、数は少ないものの対面販売が可能な直営店舗を大都市圏に作る、といったところも出てきた。

直営店を設けるMVNOも出てきた

サポートという点では、口コミの力やユーザー同士の情報交換も一種のサポートリソースとなりうる。「mineo」はウェブ上に会議室を設けるなどしてユーザー同士が助け合う互助組織を構築したり、「IIJmio」はユーザーと開発者が直接対話できるイベントを開催することで、キャリアによるバイアスのない、ユーザーの忌憚ない意見がやり取りされるようになり、初心者からベテランユーザーまでを広く惹きつけている。

別の方向性でもユーザーに訴求したのが「楽天モバイル」や、TSUTAYAで販売される「TONE」だ。これらのサービスは利用することで楽天ポイントやTポイントが貯まりやすくなっており、ECサイトなどでの買い物で貯めたポイントを電話料金の支払いに充当するといったことも可能。自社の経済サイクルに組み込むことで、サービスの魅力を高めている。

ポイント制度を武器にユーザーへの訴求を図るところも出てきた

多彩なサービスでの差別化が進む第3ステージ

サポートやサービスの強化で勝負でききるのは、現時点でシェアがそれなりに大きく、経営母体の体力に頼れるMVNOが中心となる。こうした母体がないところは別の手段で対抗することになる。第1ステージですでに料金競争が限界に達していると説明したが、そこをうまく突いた形のサービスが登場している。