「通信業界」:モバイル端末の役割を再定義する5G

通信やネットワーク機器産業は現在、5Gネットワークの開発や端末機器のテストを行っている。5Gの実用化とビッグデータとクラウド・コンピューティング技術の活用により、さまざまなアプリケーションの機能がアップグレードされることが期待されている。機能拡張にともない、これらの端末機器はさまざまな専門分野に必要不可欠なツールとして入り込むことが可能になることが期待されることから、2017年は端末機器の機能を再定義する年になることが見込まれる。

「モバイル・アプリケーション・サービスは、モバイルヘルス、モバイル決済、モバイル生活サービスを中心に展開される」とTrendForceのシニア調査マネージャーkelly Hsieh氏は述べている。「モバイルヘルス市場では、健康とフィットネスアプリが主流の製品になる。モバイル決済については、指紋認識による生体認証技術が最も人気のある支払認証手順として大きな需要を生み活況を呈するだろう」とHsieh氏は見通しを語るほか、さまざまな企業が、モバイル生活サービス市場の大部分を構成することになるスマートホームサービスに多額の投資をしていることを指摘している。

また、車向けインターネット(Internet of Vehicles:IoV)市場では、よりパーソナライズされたサービスとして、スマートフォンがインフォテインメントシステムやトラックのタイヤ空気圧にアクセスしたり、セキュリティおよび安全性に関連する機能を制御するために使用できるようになったりすることが期待されるとしている。

「自動車業界」:IoVと自動運転で市場拡大

世界の主要地域の自動車販売は、2016年に安定した成長に戻ったとのことで、中国、欧米とも5~8%成長となる見通しだ。

グローバルな自動車市場は2017年も着実に拡大し続ける。xEV(EV/HV/PHVの総称)について、TrendForceは2016年で95万台が全世界で販売されると見積もっている。その大半が中国だとするが、米国での販売も急回復してきているという。

TrendForceの車載エレクトロニクス担当アナリストEric Chang氏は、「IoVおよび自動運転が、グローバルな自動車エレクトロニクス市場の拡大をもたらすけん引役であり続ける」と述べている。「IoV機能を付加して自動運転を実現する競争によって、自動車業界のサプライ・チェーンは変化する。自動車業界自身が、これまで高まってきた障壁を下げるか、または撤廃したら、他の関連した産業の企業は、自動車用品チェーンに入るか、または自動車メーカーと協力することができるようになろう。Uberのような配車ビジネスは、車載エレクトロニクスとIoVの進歩によって可能となった業界の横断的協力の好例である」とChang氏は説明する。

「ロボット業界」:中国の産業用ロボットの売上高は年率21%で成長

「中国政府は人間の労働をロボットで置き換えることを促進しているので、近年、中国は産業用ロボットの世界最大の市場となっている」とTrendForceのシニア調査マネージャーHarrison Po氏は言う。また、「それにもかかわらず、中国企業の所有する産業用ロボットの数は国際平均を下回っている。国内ブランドの自動車メーカーや自動車部品サプライヤは、自社製品を製造するのに人間の労働者に大きく依存し続けているからだ」とも指摘。 コンシューマ・エレクトロニクス向け組立工場もヒトの労働者をロボットで置き換える必要があるなど、依然として産業用ロボットの需要がまだまだ存在するとしている。

TrendForceは、こうした中国への新たな産業用ロボットの年間販売台数は、2017年に11万台、2019年には16万台と年平均成長率21%で成長すると予測している。また、2019年には全世界で販売されるすべての産業用ロボットのほぼ40%が中国市場向けとなるだろうとしている。