すると、直径25cmという小ささを生かし、これまでのロボット掃除機では入っていけなかったイスの下といった狭いすき間にもスイスイ侵入していく。それ以上に目を引いたのは、機敏な走行性だ。
部屋の隅や壁際といった場所では、ロボット掃除機は衝突を避けるために減速するのが一般的だが、minimaruはギリギリのところまでさほどスピードを落とさず、クルッと向きを変えて動く。走行中は、部屋をキビキビと掃除している印象だ。
minimaruは小型化のために、ギアやモーターが新しく開発されているのだが、加えて高いパフォーマンスを発揮する高度な技術は、自社でモーター開発までを行っているメーカーならではの強みだと実感する。また、一般的なロボット掃除機と比較して、小さな本体は高速で動いても遠心力や慣性が小さく、コントロールしやすいというのもあるだろう。
自走するロボット掃除機にとっては、部屋をくまなく動いて「掃除残し」がないというのも重要な要素だ。minimaruは、昨今のロボット掃除機でトレンドとなっている、レーザーやカメラで自らの位置を認識してマッピングする「SLAM」というテクノロジーは搭載していない。初期のロボット掃除機で使われていた「ランダム走行」を採用しており、正面に壁を検知すると方向転換し、部屋中を動き回るという走行パターンが基本だ。
しかし、基本の動きに、「minimaru AI」と呼ぶ走行用のソフトウェアを組み合わせているのがポイント。本体の複数センサーで検知した、床の素材や障害物の状況などにもとづいて、100以上の行動パターンから最適な動きを選んで効率的に動ける。走行(掃除)中の動きを観察していると、例えばテーブルやイスの脚周りはグルリと一周したり、部屋の角では左右に細かく本体を振ったりと、念入りに掃除していることに気付く。
SLAMを搭載しない弱点を挙げるとすれば、区切られていない広めの部屋であったり、連続して複数の部屋を自動で掃除するようなシーンだろう。部屋の形状や位置を認識しながら動くことができないため、悪く言えば行き当たりばったりとなり、全体を掃除し終える前にバッテリーが切れてしまう場合があった。バーチャルウォールのような、空間を疑似的に区切る装置や機能もないため、使用時はドアを閉めるなどして、掃除する空間を物理的に決めておくと無駄なく掃除してくれる。