その結果、PC事業の売上高は、2016年度上期実績で、前年同期比59%減の996億円と半分以下にまで一気に縮小。営業利益は7億円の赤字となったものの、141億円もの改善を果たした。第1四半期だけをみれば、営業利益は2億円の黒字を達成している。
赤字となった上期実績についても、「前年度の構造改革費用として、37億円を遅れて計上していることを考えると、上期は実質的には黒字だと判断している」(東芝 代表執行役専務の平田政善氏)とし、PC事業の回復ぶりを強調する。
救いになったのはメモリ・HDDの需給環境
だが、上期の好業績の最大の理由は、メモリやHDDで構成されるストレージ&デバイスソリューションの好調ぶりだ。
同セグメントの売上高は1%減の7997億円と減益になったものの、営業利益は417億円増の783億円と大幅な増益となった。
HDDは、PCおよびゲーム向け需要が引き続き堅調なほか、構造改革効果によって、売上高は14%増の2217億円、営業利益は208億円改善して、138億円の黒字に転換した。デバイス他の領域においても、売上高は6%減の1735億円と事業撤退の影響があったものの、システムLSIの事業構造改革の効果により、489億円改善し、144億円の黒字を計上した。
さらに、メモリは、円高の影響もあり、売上高は前年同期比5%減の4045億円、営業利益は280億円減の501億円の減収減益となったが、旺盛な中国スマホメーカーへのメモリ供給の増加や、SSDの需要増により、売価は想定よりも高く推移。売上高、営業利益ともに、当初計画よりも上振れたという。
「メモリは、当初想定では、数%程度の営業利益率を想定していたが、旺盛な需要に支えられ、想定を上回る12%の営業利益率を達成。通期でも同様の利益率が見込まれる」とする。
このようにストレージ&デバイスソリューションには明るい材料が揃いはじめており、これが東芝の好業績を牽引している。
足をひっぱるのはテレビなどの映像事業
一方で、依然として厳しい状況にあるのが、テレビをはじめとする映像事業である。
映像事業の2016年度上期売上高は、前年同期比42%減の279億円、営業利益は110億円改善したものの105億円の赤字となった。
海外向けの事業を、ブランドライセンス化したことで、売上高が縮小。また、過去に発売した製品における品質対応引当や、ライセンス費支払いに関わる係争案件で、合計84億円の費用を計上。これらがマイナス影響となり、大幅な赤字の原因となった。
さらに、2016年度下期には、海外拠点整理関連費用として100億円超を見込んでおり、通期での赤字は避けられない。