ソフトバンク2.0推進に必要なこと
しかし、ソフトバンクグループが今後も投資を続けていくには、純有利子負債が大きすぎるのも事実。特に英アームの買収では保有するアリババ株等を手放し資金を作ったが、投資総額は240億ポンド。日本円換算で約3.3兆円となり、手持ち資金でまかなえなかった分を借り入れている。その結果、純有利子負債はさらに膨れ上がった。
孫氏は保有するアリババ株を手放せば、財務を改善できるというが、アリババに伸び代はまだあり、まだ手放すわけにはいかないという。こうしたいきさつで生まれようとしているのが10月発表の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」だ。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドとは
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、テクノロジー分野に出資するファンドだ。約10兆円という途方もない資金規模を想定している。ソフトバンクは今後5年で2.5兆円を出資。パートナーには、サウジアラビア王国のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)を迎え、PIFが今後5年で4.5兆円を出資する。残る3兆円分のパートナーは現在協議中だという。
具体的な投資対象は、数百億円以上の案件で、AI・IoTなどを手がける企業が想定されそうだが、ライドシェア事業を展開するUberのような業種・業態も含まれるとし、"情報革命"に該当する企業が全般だ。
これまでソフトバンクを設立し、スプリントの再建にも関わり、事業家としての力を発揮してきた孫氏。そんな同氏が熱っぽく語ったのがこのファンドについてである。
気になるのはスプリント事業が一服したと思われる今、ファンド設立によって、孫氏の役割はどうなるのかということである。孫氏はこれからも事業家として活動していくのか、投資家として手腕を発揮するのか。そのあたりは今後のソフトバンクグループの方向性を見る上でも興味深いところだ。