筆者はパソコンからコンピュータを使い始めたため、未だにデスクトップパソコンを頂点としたヒエラルキーを意識しがちだ。しかし実際は、デスクトップパソコンを所有せず、ノートパソコンを主たる仕事の道具としている。

Microsoftはタブレットとパソコンを融合させたSurfaceを打ち出して好調が続いている。AppleはiPadが、モバイル世代にとってのメインのコンピュータでも良い、という考え方を広めようとしている。この展開から、段々とパソコンでの作業は特別なことになっていくことが考えられよう。

いずれもAppleのモバイルデバイスとAdobeのアプリによって制作された作品群。左上の女性の顔のイラストは、日本から参加した牧かほりさんの作品で、Adobeの作品発表コミュニティ「Behance」を通じて、春のApple Storeの内装にも採用された

今回のAdobe MAXで発表した、人工知能や機械学習を利用して作業を素早くこなすことができるプラットホーム、「Adobe Sensei」に属する各種エンジンや機能は、極力小さなプログラムにするよう努めており、モバイルアプリへの搭載が視野に入れている。

決して変化は早くないが、Adobeはモバイルアプリを、ユーザー獲得の手段から、本格的なクリエイティブの中核へと移行させようとする姿勢が伺える。その過程で、5年前に移行したパッケージ販売型からサブスクリプション型へのビジネスモデルの変化と、クラウド主体のワークフローは、より価値を発揮していくことになるのであろう。