10mm以下の薄さを実現する上で重要な要素になったのが、「Halo(ハロ)キーボード」だ。

Halo(ハロ)キーボード(スクリーンオン時)

Haloキーボードは、表面に凹凸がなく、LEDの光で浮かび上がったキー配列をもとに、タッチ式のキーボードとして利用できる。キーボード操作時には、指先に振動を発生させて快適な打鍵フィードバックを実現。凹凸がないことで、ユーザーが打ち間違いをした際も、その人のクセを学習して実際のキーをはみ出した部分にまで打鍵位置を自動調整するという。これらの機能は、日本のレノボ大和研究所のノウハウを活かしている。

「Haloキーボードは、後付けで開発したものではなく、YOGA BOOKの開発当初から、一緒に開発を進めてきたもの。物理的にキーを押し込む一般的なキーボードを採用することは最初から考えていなかった。それは、モバイルファーストを原点とするこの製品にとっては当然のことであった。それに伴い、Haloキーボードを支えるソフトウェアも大きく進化した。この技術があったからこそ、10mmを切る薄さを目指すことができた」とする。

キーボードの凹凸がないため、薄さを極限まで追求できたほか、同時に、YOGA BOOKで目指した新たなエクスペリエンスと、生産性を高めるには欠かすことができない技術だったといえる。

キーボード右上のペン型アイコンを触ることで、キーが浮かび上がるスクリーンオン状態と、手書きのペン入力ができるスクリーンオフ状態が切り替わる

ブラックベリーからiPhoneへの移行と似ている

だが、一般的なキーボードを利用している人たちにとって、凹凸のないキーボードは一見して、慣れるまでに時間がかかりそうに感じる。

Srinivasan氏は、「かつて多くの人がブラックベリーからiPhoneに移行するときに、キータッチが慣れないのではないかと心配したはずだ。安心して使うため、いつまでも同時にブラックベリーを所有していたいという人もいた。私もそのうちの一人だった」と笑いながら、「YOGA BOOKのHaloキーボードにも同様の思いを持つ人が多いことは容易に想像できた。だが、一度、これを使ってほしい」とする。

キーボード自体に凹凸はなく、キーを触ると振動する触感フィードバック が得られる

実は、事前の調査で、一般的なキーボードとHaloキーポードの使い勝手を比べたところ、評価は半分に分かれたという。

Srinivasan氏は「これまでにないキーボードの使い勝手が、一般的なキーボードと同じ評価であること事態に私は驚いた。とくに、30歳以下の回答だけに限定すると、Haloキーボードの方が評価が高かった。想像以上の完成度であった」と自信をみせる。

続けて、「多くの人は30秒間使っただけで、これは使えそうだ、あるいはこれは使えないと判断する。だからこそ、Haloキーボードの完成度を高めるためには多くの時間を費やした」とした。

大和研究所のノウハウだけでなく、中国や米国の開発チームも協力し、ユーザーエクスペリエンスを徹底的に追求。地域ごとのキーボードに対する要求も反映することで、キー配列を最適なものにし、振動の伝わり方や音も心地いいものを目指した。

これまでにない新たなタイプのキーボードは、試行錯誤を繰り返した結果、最高水準のものが完成したと胸を張る。