"涙の味"でつながる
――山口監督は物語において、ゲーテの「涙とともにパンを食べたものでなければ人生の味はわからない」を重視なさっています。高橋さんには「涙のご飯」の経験はありますか。
泣きながらご飯食べたことはあります。つらいことがあった時に食べたり、つらいのを我慢していて食べたものがすごくおいしくて、それが感情に響いて泣いちゃったとか。おいしさに温かみを感じて泣いちゃったりとか。最近はあまりないですが……『るろうに剣心』(14年)の時とか。
――だからこそ犀原の気持ちになることができた。
そうですね。過去を振り返ってみると、「涙の味がするご飯」が自然と浮かんできます。『Part2』で実際に演じるまで犀原のことは全然分からなかったんですけど、「涙の味」と監督から聞いて、そこからすべてがつながったというか。「これで茜になれる」と思いました。
2人で創り上げた役柄
――山口監督はどんな方ですか?
変わっている方だと思います(笑)。天才は変人と紙一重と言いますが、そういうところはあると思います。ご近所なのでたまに道ですれ違うんですけど、「不思議な人が歩いて来たな」と思ったらだいたい監督です(笑)。
――ますます気になります! 実は犀原茜のことでお話をうかがおうと密かに思っていまして。
してほしいです!感覚的に似ているところがある……と言っていいのかわかりませんが、感覚的に教えてくださるのですごくつかみやすいです。
――犀原茜は2人で創り上げたもの?
そう言っていいのであれば。監督に助けていただいたところがすごく多いですけど。
――そんな犀原の少女時代を、『ザ・ファイナル』では玉城ティナさんが演じています。
すごく不思議な気持ちになりました。「茜はこういうところがあるんだ!」「新発見!」と驚いたり。女の子っぽい一面があったのも意外でした。茜で常に意識していたのは、立ち方や歩き方。女性的な雰囲気を意識的に排除していました。でも、玉城さんの茜からはすごく「女の子」が伝わってきました。人生で大切な人が亡くなって、きっとそこで変わってしまったんですね……。
さらば、犀原茜
――撮影を終えての打ち上げは?
昨年、撮影が終わった後にありました。山田さんが「お疲れ様です。ようやく話せるね」と。綾野さんは、2人が全く話さないから驚いていたそうです。
――個人的には山田さんと恋愛もので共演してほしいです。
想像もつきませんね! どんなふうになるんでしょう(笑)。
――さて、そろそろお時間です。犀原茜、もう2度と演じることはありません。
さびしい(笑)。『ザ・ファイナル』まで観て、シリーズがついに完結します。『Part3』だけを観て、『ザ・ファイナル』を観ないのはすごくもったいない! ぜひ『ザ・ファイナル』まで見届けてください。犀原茜の過去だけでなく、それぞれのキャラクターの背景も明らかになります。
――本当に終わるんですかね。
リターンズ(笑)? あるといいですね!
■プロフィール>
高橋メアリージュン
1987年11月8日生まれ。滋賀県出身。2004年からファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍。2012年に同誌を卒業し、同年のNHK連続テレビ小説『純と愛』の狩野マリヤ役に抜てきされ、女優デビュー。『闇金ウシジマくん Part2』(14年)、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』(14年)、『キカイダー REBOOT』(14年)、『リアル鬼ごっこ』(15年)、『ヒロイン失格』(15年)、『みんな! エスパーだよ!』(15年)、『復讐したい』(16年)、『シマウマ』(16年)、『ホーンテッド・キャンパス』(16年)などの映画に出演。