――犀原さんってちょっと危険を伴うゲームが好きですよね。
そうなんです。『Part3』でおもちゃのギロチンで大根を切ってチンピラを脅すシーンがあるんですが、あれ、本当に切れるんです。だから何度も何度も練習しました(笑)。そのまま腕を切ってしまったら、大変なことになりますから。
―― 前回のインタビューでおっしゃっていたとおり、JPに思いっきり一味唐辛子をかけていましたね。あれは本物なんですか?
本物です。だから、カットがかかるとJPはむせていました。
――アドリブだったんですよね? なぜそんなことを。
やっぱり、ドサッと辛いものを乗せて食べさせたいなと思って。そのままちょっとずつかけても時間がかかっちゃうので、蓋を取ってしまいました。ファミレスのシーンでは確か……折り紙を切ってましたね。たぶん台本には無かったかと。
――折り紙で何を作っていたんですか。
たぶん、何かを切りたかっただけです(笑)。
――ドラマではハサミを愛用しているみたいでしたね。
「時々持ち歩いている」という設定です。たまに持ち歩いていなかったりもするので、債務者の家にあるハサミを使わせていただくこともあります。
撮影終了後でも監督と意見交換
――今回の取材を通して、犀原茜の魅力の根源が見つかればと。ずっと考えていたんですが、うまく説明できなくて。何がファンの心に刺さっていると思いますか。
犀原を好きと言ってくださる方が多くて、私自身すごく不思議でした。よく言われるのが「汚い食べ方が萌える」とか。威圧感とか怖さにつながるようなことは意識していなくて、「すごく変わっている人」を演じているつもりなんです。笑ってもらえるのが、実は正解な気がします。あとは「エロスを感じる」とか……これも全く気にしていなかったこと。あとは「蹴られたい」とか(笑)。
――共演者の方は犀原茜をどのように思っているのでしょうか。
「面白いね」とはよく言われます。綾野さんは「キレッキレだね」と(笑)。ドラマに出演させていただいたこともあって、街で声をかけてくださることも増えたんですが、やっぱりみなさんどこか怯えていて(笑)。話しかけてくださる時に、「プライベート中に本当にすみません」とすっごく謝られるんです(笑)。別の役ではこんなことありませんでした。
――山口雅俊監督が2016年9月1日に「夜にふとひらめき高橋メアリージュンに連絡。犀原茜のキャラクターについて再確認」とツイートしていました。この時期はすでに撮影を終えていたと思いますが、どのようなやりとりだったのでしょうか。
すごく短い電話でしたが、裏ストーリー的な部分の確認でした。実はドラマにはもう1人監督がいて、山口監督の演出ではない回があったんです。この時にお話したのは、犀原茜がJPにハサミを投げて顔面スレスレで柱に突き刺さるシーン。山口監督から言われたのは「あれは実際に突き刺そうとしてないよね?」。刺すつもりがなくて、刺さってしまうのが犀原。グサッと刺さらずに落ちるような「無造作さ」が犀原の怖さ。「だからあれはたまたま突き刺さったことにしよう」と(笑)。
――不思議な会話ですね(笑)。撮影を終えているのに、その認識は一致させておきたいものなんですか。
そうですね。監督も「この話を誰かにしたかったけど、メアリーにしか分からんなと思って。だから、俺ら2人の中では一致させておこう」と。
――監督と役者の関係で、そういうことはよくあるものなんですか。
私は初めてです。海外の役者さんはそんな感じと聞いていたので、すごく良いことだと思います。質問があれば、すぐに監督と連絡をとれる状態。それができていて、楽しいです。