そのSurface Hubが架けられている反対側の壁は全面ホワイトボードとして活用可能な乳白色のガラス。これほどの面積があれば、複数人でワークショップを行うとき役立ちそうだし盛り上がりそうだ。

ホワイトボードとして活用できる壁

スペースは地階にあるが上部はガラス張りで明るい

PIT内部のレポートはここまでにして、萩原さんが所属する未来創造局という部署に触れよう。この到底ほかの企業ではまずお目にかかることができない名前の部署は、その名のとおり“100年先の資生堂の「未来」を考え、「今」を企画する”のが目的。局の開設時には、まず全国津々浦々をまわり、各地域の資生堂社員の“未来の資生堂”についての意見をヒヤリングしたそうだ。つまり、社員の声のなかから未来につながる企画を生み出している。もちろん経営陣との話し合いも綿密に行われたという。その結果誕生したもののひとつがPITというわけだ。部署立ち上げ当初は5人だったが、公募した社員も加わり、現在15人規模の体制を敷いている。

さて、PIT開設を担当した萩原さんは、まだ入社5年目だという。その若手に197.35平方メートルという、決して狭くはないスペースとなるPIT開設をコンセプトメーキングからいきなり思い切って担当させるのだから、資生堂は開明的なのか、あるいは度量があるのか……。若い社員でもやりがいのある仕事を任されるのだから、そんなクチコミを聞いた学生たちが資生堂に入社したがるのは当然なのかなぁと、資生堂汐留オフィスを背にし、新橋駅へ向かっている途中でそんなことを考えた。