そのPITを見学させていただいたのでレポートしよう。案内役は前出の萩原さんだ。

PITの入り口は資生堂本社ビルエントランスのすぐ近くにある。まさにビル内の“一等地”ともいえる場所。PITは地下にあり、階段を降りていくと靴脱ぎ場に到着する。「靴を脱ぐのか」と一瞬思ったが、オフィス内に靴を脱げるスペースが存在するのはある意味新鮮といえよう。

「現在、試験的に土足厳禁にしています。利用者の意見はさまざまですが、靴を脱ぐことでよりリラックスでき、コミュニケーションも進むのでは、という考えで実験しています」(萩原さん)。それもそのはず、PITは9月16日にオープンしたばかりの“できたてホヤホヤ”のスペース。現在は少しでも多くの社員に利用してもらい、フィードバックをもらうフェイズなのだろう。

入り口付近に設置された本棚

PIT内のレポートに戻ろう。目に入ってくるのが大型の本棚だ。天井高約8mの広々した空間に設置されているので写真では小さく見えるが、十分大きな部類に入るサイズ。その本棚にオブジェなどを置いたり、本を開いた状態で配置したりと、広々と贅沢に使っている。なお、この本棚には雑誌や小説、文庫本などが化粧品メーカーならではの切り口で配架されており、PIT利用者なら誰でも読める。貸し出しにも対応しており、PITの外へ持ち出すことも可能だ。

次に目に入ってくるのが対面式の細長いテーブル。自分の前にノートパソコンを置くと、その奥側の作業スペースがほぼ無くなるほど奥行きが狭いが、これは対面に座ったほかの社員とのコミュニケーションを行いやすくするための仕掛けだという。

社員同士のコミュニケーションが考えられたテーブル。遊び心なのかスタンプもあった

84インチの巨大Surface

奥の部屋に設置された本棚。中心のディスプレイがSurface Hubの84インチだ

続いて奥のルームへ。そこには入り口よりもさらに大きな本棚があり、その中心に巨大なディスプレイが架けられていた。実はこのディスプレイ、単純なモニターでもなければテレビでもない。これは日本マイクロソフトがリリースしている「Surface Hub」といわれる製品で、その名のとおりSurface、つまり巨大なタブレット端末だといってよい。当然、OSやアプリを搭載しており、この巨大なディスプレイを使って、社員がレコメンド動画を共有するなどのコミュニケーションツールとして利用できる。

余談となるが、日本マイクロソフトからは84インチと55インチのSurface Hubがリリースされているが、PITに導入されているのは84インチのほう。日本で84インチのSurface Hubを導入したのは、化粧品業界では資生堂が初だそうだ。