資生堂といえば、マイナビで行った学生アンケートで「理系総合ランキング」3位、理系の女子学生にいたっては1位になるなど、学生が入社を希望する人気企業のなかでも屈指の存在。就職情報誌で公開されている各種データのほかに、大学OB・OGから“働きやすさ”のクチコミが学生たちに伝わっていることも、人気に影響しているのだろう。
社員専用のスペース
そんな資生堂の人気をさらに高めるかもしれない社員のための空間が生まれた。「SHISEIDO PIT」(以下、PIT)の開設だ。これは何かというと“社員向け多目的ワーキングスペース”のこと。社員ひとり一人が自由に使えるほか、ワークショップやイベントにも利用される。
「単なる会議室ではないか」「自由に使えるオープンスペースなら我が社にもある」といった意見もあるだろうが、会議室やオープンスペースとはあきらかに性格が異なる。まず、社員が自由にこのスペースに訪れて業務をこなしたり、リラックスしたりできる時点で単なる会議室ではない。オープンスペースは来客対応や打ち合わせなどに使われるが、PITの場合は社員専用スペースだ。その意味でもオープンスペースとは異なる。
おそらくこうしたスペースを設けている企業は数多くあるわけではない。
では、なぜPITを開設したのか。「さまざまな社員にこのPITを利用してもらうことで、コミュニケーションを促すことがおもな目的です」と、資生堂 経営戦略部 未来創造局 萩原なつらさんは話す。萩原さんは、このPIT開設を担当した人物だ。
東京・汐留にある資生堂の本社では、約2,000人のスタッフが働いている。当然、管理部門や各種事業部、システム担当など、数多くの部門に分かれている。異なる部門で働くスタッフがPITに集まることで、部門を超えた社員同士のつながりや知見の共有を促し、社員のクリエイティビティを高める場として活用するのがねらいだという。