小さいスマートフォン向けレンズでライカの基準を満たしながら、しかも量産もできなくてはならないのが課題で、「1,000個のレンズを作って2個しか使えないなら意味がない」とChangzhu氏は語気を強めた。モジュールメーカー、Huawei、ライカが協力して、一定の画質を実現しながら量産もできるレンズが設計できるようになったという。その画質は、「光学性能が優れており、繊細な色再現性能を備え、豊かな階調表現が可能。ライカならではの色も表現でき、色も飽和しにくい。緑はやや翡翠色に寄っていて、赤も深くて穏やかな赤になる」とChangzhu氏はレンズ性能を自賛する。

同じく未発売のピンクカラーと合わせて、電源ボタンにライカのレッドカラーが加えられているのも違い

もう1つの協業の重要な点がレンズ以外の画質だ。ライカの品質評価の基準には色、周辺・中央の解像度、コントラスト、そして「ライカのスタイルがあるかどうか」などといった項目があるという。ライカの技術者とともに主観的評価、客観的評価の双方から画質評価を行い、画質を改善してきたという。「ライカの技術者はほとんどがカメラマンでもあり、優れた写真の技術を持っている人ばかりだった」とChangzhu氏。こうした技術者たちとの長時間の開発の結果、最終的にライカロゴを利用することが許可されたのだという。

ライカには、モノクロセンサーを搭載した「ライカMモノクローム」があるが、HUAWEI P9も同様にモノクロセンサーを搭載しており、これも重要な点だとChangzhu氏は鼻息を荒くする。このモノクロセンサーによって「階調豊かなモノクロ写真が撮れる」ことに加え、ライカとの協業によって「素晴らしいモノクロ写真が撮れるレンズを開発した」と胸を張った。

同じようにデュアルカメラを搭載したHonor 8は、発売タイミング的にはHUAWEI P9と同時期だが、最上位のHUAWEI P9に比べると「低い位置づけの製品」だという。デュアルカメラでは、「画像処理のアルゴリズムがライカのものではなく、"Huaweiスタイル"で、明るく透明感があるような処理をしている」そうだ。

同社のハイエンドモデルは、PシリーズとMateシリーズの2製品で、ライカとは長期的かつ広範な協業を結んだそうで、「ライカカメラをPシリーズとMateシリーズに搭載する」とChangzhu氏はコメント。Pシリーズに加えて、Mateシリーズでもライカの技術を投入することを明らかにした。

SamsungのGalaxy Note 7におけるバッテリー問題について問うと、Changzhu氏は、「品質保証、製品の安全確保のために多くのリソースを投入している。安全性を含む製品の品質は、コアの競争力の1つだと思っている」と返答してくれた。

Changzhu氏は「良い製品、良いサービス、パートナーとの良い関係、良いユーザー体験の提供などをしていけば、自然に市場シェアが拡大していくと思っている」と所感を述べた。ライバルから学んでいく必要もあるとしつつ、「競争相手は自分自身」と自省し、ハイエンドでもエントリーでも、スマートフォンで最高のユーザー体験を提供することが重要だと言明した。