ラジオのプラットフォーム化、位置情報の活用も重要に
ラジコは現時点でも多くのラジオ局が参加するプラットフォームと捉えることが可能だが、三浦教授がフェーズ3で思い描いているのは、ラジオを核として、音楽、スポーツ、地域社会といったさまざまなものがラジコと連携する姿だ。
例えば音楽であれば、ラジコで流れている楽曲について、アーティスト情報を知らせたり、ダウンロードサイトへのリンクを貼ったりする感じがイメージしやすい。ラジオは元来、リスナーが新しい音楽に出会う場所としての機能を持っていたメディアだ。フェーズ2で沢山のリスナーがラジコに集まれば、ラジオで未知の音楽に出会い、音源を購入したり、ライブに足を運んだりする人が増える可能性も出てくるだろう。
ラジコが外部との連携を図るとき、キーになる要素の1つが位置情報だ。ラジコは起動している人の現在位置に合わせたラジオ番組を配信しているため、当然ながらPCやスマホの位置情報を把握している。この位置情報がラジオのプラットフォーム化に役立つ。
例えばサッカーの観戦に出かけたとき、ラジコに「スポーツモード」のような機能があれば、サッカーの音声中継に加えて、選手の情報などをラジコ経由で配信することが可能だと三浦教授は語る。位置情報がつかめているので、そのサッカー場にいるラジコ保有者にだけ選手情報を流すことができるのだ。例えばライブ会場であれば、アーティストの情報やライブのセットリストをラジコに送ることも可能だろう。
外部との連携で広がるラジオ経済圏
三浦教授は位置情報とラジコの広告を組み合わせる方法についても考えを巡らせている。例えば位置情報を活用し、ある地点を通過する人にだけ、ラジコ経由でクーポンを配るといった使い方だ。ラジオでは地域に根ざした広告をよく耳にするが、ラジコならば更にきめ細かく、リスナー各人(の位置情報)に合わせた広告を流すことができそうだ。
ラジコがどういった分野と、どの程度の連携を行うかについてはさまざまなアイデアが浮上している様子。ラジコが発信する情報がユーザーの購買行動に繋がったり、ラジコ発のイベントに人が集まったりすれば、そこから新しいビジネスモデルが生まれてくる可能性がある。ラジオ広告費が減少基調にあったのは間違いないが、これからは広告費と周辺ビジネスを足し合わせた“ラジオ経済圏”の規模を見ていく必要がありそうだ。