グーグルとマイクロソフトの狙い
ツイッター買収に動いているとされる企業には、グーグル、マイクロソフト、セールスフォースといったテクノロジー企業のほかに、ディズニーの名前も上がっている。彼らが目指すのは一体どんなシナリオなのだろうか。
グーグルとマイクロソフトは、ネット広告市場における「検索広告グループ」と位置づけることができる。その上で、フェイスブックとの差を作り出したいと考えているはずだ。 ツイッターの分単位のアップデートは、フェイスブックやインスタグラムのストック型とは異なる情報フローを実現している。特にフェイスブックは時系列から脱しようとしていることを考えると、即時性のある情報流通と広告の組み合わせで差別化をするチャンス、と捉えられる。
フェイスブックはインスタグラムを傘下に収めたことによって、広告商品のバリエーションが増加している。同じターゲットを狙う広告でも、属性や時間帯などに応じて、フェイスブックとインスタグラムでダイナミックに出稿先を出し分けることで効果を高めることができる。機械学習が活かされる領域でもある。
グーグルやマイクロソフトが、検索やディスプレイ広告以外の、リアルタイム広告のチャネルを手に入れることは、より効率的な広告商品の提案と、モバイルへの対応を深めることにつながるだろう。
セールスフォースとマイクロソフトの狙い
また、セールスフォースとマイクロソフトは、BtoB領域での活用が考えられる。ちなみにセールスフォースとマイクロソフトは、ビジネスネットワークサービスLinkedInの買収でも争った経緯がある。両社がLinkedInを取り合った理由も、人材にまつわる「データ」が原因だった。ツイッターについても、同じことが言えるだろう。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、ツイッターについて「磨かれてない宝石」と例えており、興味をちらつかせている。ツイッターは顧客との関係づくりに加えて、市場や顧客の動向を分析する上で重要な情報ソースとして扱うことができる。フォロー関係の固定的なデータだけでなく、リアルタイムで流れてくる利用するハッシュタグや発言内容は、その顧客の嗜好と思考を図ることができるからだ。
ディズニーの狙い
ディズニーは、前述のテクノロジー企業とは異なる形でツイッターを使うことになるだろう。もちろん、メディアやコンテンツといった本業に関連する方法だ。
ケーブルテレビの加入者は減少を続けており、一方、ネットフリックスやアマゾンなどのストリーミング配信への人気が集まる。ディズニーをはじめとするケーブルチャンネルビジネスは、間もなく転換期を迎えることになる。その際に、ツイッターは、コンテンツと視聴者を結びつける手段となるだけでなく、スポーツや大統領選挙のように、ライブコンテンツを見せる現場ともなり得る。
ツイッターは現在、各社から買収提案を受けていると報じられており、総額300億ドル、3兆円あまりの取引になると見られている。2016年第3四半期決算が出されるタイミングまでに結論が出るかどうかは不透明ではあるが、いずれにしてもツイッターがなくなることだけは、避けられるはずだ。