ちなみに、講演においてワークスアプリケーションズの牧野CEOとの対談では、グーグルではコンピュータに人間の言語を理解させ、どんな意味があるかを理解し、対話できるようにすることを目標に開発していると明らかにした。

また、AIが進化して人間の知性を超えてしまったら人類に対して敵対するのではないかという問いに対しては、AIは人間の助けになるものであって、映画などのように人間と敵対することはないという。もちろん技術は諸刃の刃であり、火が暖を取れれば家を焼いてしまうこともあるように、悪意ある人間がテクノロジーを使う危険性はあるので、テクノロジーの安全利用のためのガイドラインを作る必要性を指摘した。

技術の進歩に取り残されないために

AIの権威であるだけでなく、未来学の権威でもあるカーツワイル氏だけに、かなり刺激的で未来志向な講演だったが、その内容はビジネスにとっても決して無関係ではない。シンギュラリティが起きるか起きないかに関わらず、技術の進歩は、カーツワイル氏が提唱する収穫加速の法則に近い形でその速度を高めているからだ。

ビジネスの現場も経営者も、こうした技術革新を無視していては、時代に取り残されてしまう。常にアンテナを高く掲げ、最新の技術動向に気を配っておく必要があるだろう。人工知能時代のビジネスは、これまで以上に経営速度と新技術への対応が問われる時代になりそうだ。