A30は、MP3、WMA、リニアPCM(最大192kHz/24bit)、AAC、FLAC(最大192kHz/24bit)、Apple Lossless (最大192kHz/24bit)に加え、リニアPCM変換でDSD(最大11.2MHz)を再生できるようになった。microSDカードスロットも搭載、64GBモデルに128GBのmicroSDカードを使用すれば、最大192GBの大容量を実現。1,200曲以上のハイレゾ音源を持ち運ぶことができる。
A20も、アルミダイキャストフレーム、低抵抗ケーブル、厚膜銅箔プリント基板、高性能コンデンサ「POSCAP」などの高音質パーツを採用していたが、A30はPOSCAPの搭載数を増やし、高音域のノイズ除去性能を高めたフルデジタルアンプ「S-Master HX」を強化するなど、さらなる高音質化を図っている。
音質の差は聴き比べてみると歴然だ。A30の音は解像度が高く、音場が広い上、エネルギー感が強い。今回の試聴で特に感じたのは、楽器の再現性が上がっていることだ。ピアニストのエレーヌ・グリモーによる「リスト ピアノ・ソナタ ロ短調 S178」(FLAC 96kHz/24bit)を聴いてみると、音の強弱はもとより細かな音の余韻もしっかりと表現するため、音空間のスケールが大きく、グリモーが作り上げる音世界の中にどっぷりと浸れる。
A20との違いはロックでもよくわかる。A30でローリング・ストーンズの「Rocks Off」(FLAC 192kHz/24bit)を聴くと、ギターのフレーズを正確に追うことができる。また、低域から高域までバランスよく出るため、演奏がこじんまりとまとまることなく、バンド全体のグルーブ感がよい。
女性ボーカルでもその違いは明白だ。ダイアナ・クラールの「Operator」(FLAC 48kHz/24bit)では、細かいブレスもしっかりと描写されるため、表現力豊かで濃密な歌声を堪能できる。ほかのジャンルも聴いてみたが、あらゆる楽曲でA30の良さをしっかり感じられた。音質向上を目的としてA20からA30に乗り換えても、後悔することはないだろう。